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出生前検査後に中絶を選択することはできるの?

晩婚化が進んでいる今、高齢出産の女性が増えています。

高齢出産とは、35歳で尚且つ初産の女性です。

母体の年齢が上がるほど、母子共に妊娠や出産においてリスクが高まります。

そのようなリスクを避けるために取り組んでいる検査が、出生前診断です。

出生前診断では、ダウン症など様々な疾患が分かるでしょう。

胎児がダウン症と分かったとき、中絶を選択できるのでしょうか。

検査で分かる疾患と、検査後に中絶できるのかを解説します。

出生前検査で見つかる先天性疾患

先天性疾患を見つける方法は、NIPTという母体と胎児の遺伝子検査にて判断します。

染色体異常による先天性疾患を、従来の検査よりも精密に判断可能です。

人間の染色体は46本ありますが、染色体過不足や欠失で先天性疾患を判断します。

では、出生前診断で見つかる先天性疾患の代表的な疾患を3つ解説します。

21トリソミー(ダウン症)

出生前診断でも多く診断されるのが21トリソミー、別名ダウン症です。

ダウン症は、21番目の染色体が1本多いことから発症する疾患で、国内でも600〜700人に1人の割合で出生しています。

主な症状としては次の通りです。

  • 成長障害
  • 筋緊張低下
  • 下向きの口角や舌挺出
  • 小頭傾向
  • 活気がない
  • 5指短小・内弯

合併症については次の通りです。

  • 先天性心疾患
  • 消化器疾患
  • 環軸椎亜脱臼
  • 屈折異常
  • 白内障
  • 排尿障害
  • 甲状腺機能異常症

ダウン症児の平均IQは50で、多くの場合特別支援学校や支援クラスに入りながら、学校生活を送っています。

芸術やスポーツなど、幅広い分野で活躍し、平均寿命も50〜60歳が多いです。

18トリソミー

常染色体異数性の異常で、18染色体全長もしくはコピー数が多いことが原因です。

別名エドワード症候群とも呼ばれており、子宮内での発育不全が原因で、多くは流産もしくは死産します。

国内でも3,000〜8,000人に1人の頻度でみられ、男児より女児に多い傾向にあります。

主な症状としては次の通りです。

  • 成長障害
  • 身体的特徴(手指の重なり・揺り椅子状の足・胸骨が短い)
  • 先天性心疾患
  • 肺高血圧
  • 難聴
  • 悪性腫瘍

18トリソミーの合併症は次の通りです。

  • 呼吸器系合併症(上気道閉塞・横隔膜弛緩症・無呼吸発作)
  • 消化器系合併症(食道閉塞・胃食道逆流)
  • 泌尿器合併症(馬蹄腎・水腎症・鼠径ヘルニア)
  • 筋骨格系合併症(多指症・合指症・撓側欠損・関節拘縮・側弯症)

産まれてきても脳や心臓など、様々な臓器に欠損が見られ多くは1歳未満で亡くなっています。

13トリソミー

常染色体の異常が原因で起こり、13染色体の全長もしくは一部が重複することで原因で起こる先天性異常です。

国内でも5,000〜10,000人に1人の割合で見られます。

別名パドウ症と呼ばれ、ほとんどの子どもは脳をはじめ多くの臓器に欠損を抱えています。

13トリソミーに見られる症状は次の通りです。

  • 小頭症
  • 頭皮欠損
  • 頭蓋骨部分欠損
  • 小眼球症
  • 虹彩コロボーマ
  • 口唇口蓋裂
  • 耳介形態異常
  • 耳介低位
  • 小陰茎
  • 停留精巣
  • 手指の屈曲拘縮
  • 成長障害
  • 重度の発達障害
  • 中枢神経合併症(前脳・けいれん)
  • 呼吸器合併症(無呼吸発作・咽頭や気管軟化症)
  • 循環器合併症(心室中隔欠損症・心房中隔欠損症・両大血管右室起始症)
  • 消化器合併症(胃食道逆流症・臍帯ヘルニア)
  • 尿路生殖器合併症(滞留精巣・水腎症・多嚢胞腎)

13トリソミーのほとんどは流産や死産しますが、出産できてもおよそ80%は生後1か月で亡くなるケースが多いです。

13トリソミーについてはこちら

出生検査後に中絶を選択することはできる?

多くの妊婦さんが避けて通れないのが、中絶するかどうかの問題です。

せっかくお腹に来てくれた命、中絶するかしないかは大きな決断になるでしょう。

人工妊娠中絶をする前には、正しい知識を身に着ける必要があります。

出生検査後に中絶を選択できるか、また中絶率も合わせて解説します。

出生検査後に中絶を選択することはできる?

現在の日本では中絶手術ができる週数は、母体保護法の関係で妊娠22週までです。

中絶できる理由は2つです。

  • 妊娠の継続または分娩が身体的または経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの
  • 暴行もしくは脅迫によってまたは抵抗もしくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの

この2つに該当しなければ、いかなる理由があっても中絶できません。

同じように、22週を過ぎた妊娠中絶も認められません。

出生検査後の中絶率とは?

出生検査後、各染色体異常の陽性率と中絶率を解説します。

染色体異常の陽性率は以下の通りです。

  • 21トリソミー:陽性者数943名(86,813例中)
  • 18トリソミー:陽性者数470名(86,813例中)
  • 13トリソミー:陽性者数141名(86,813例中)

次に各中絶率です。

  • 21トリソミー:中絶率87.5%(86,813例中)
  • 18トリソミー:中絶率60.3%(86,813例中)
  • 13トリソミー:中絶率78.2%(86,813例中)

全体の平均中絶率は78.2%と、多くの方が中絶を行っています。

中絶に関する法律とは?

日本では妊娠22週を過ぎると中絶できない決まりがあります。

その理由は母体保護法と刑法があるからです。

それぞれの内容について解説します。

母体保護法

母体の生命、および健康を守るための法律です。

日本では基本的に堕胎を認めていませんが、経済的な理由や身体的な理由があれば堕胎が認められます。

条件に当てはまらない場合、堕胎罪に該当し、手術は受けられません。

刑法

刑法には、堕胎罪があります。

堕胎罪とは、出産より前に人為的に胎児を母体から分離・排出することに対する罪で主に4つから構成されています。

  • 自己堕胎罪:本人が薬物やその他の方法で堕胎した場合、1年以下の懲役に処される
  • 同意堕胎罪:第三者が妊婦の依頼や承諾を受けて堕胎した場合、2年以下の懲役に処される
  • 業務上堕胎罪:医師や助産師、薬剤師が妊婦から依頼・承諾を得て堕胎した場合は3か月以上5年以下の懲役に処される
  • 不同意堕胎罪・不同意堕胎致死傷罪:女性の依頼・承諾もなく堕胎させた場合6か月以上7年以下の懲役に処される

中絶する際は、これらに注意をしてください。

出生前検査で異常が見つかったら?中絶手術の方法を解説

週数によって中絶できる手術内容が違います。

こちらでは、初期と中期の手術内容や違い、間に合わなかったときの選択を解説します。

手術を受ける前の参考にしてください。

妊娠初期の中絶手術の内容とは?

胎児を含めた子宮の内容物を取る、子宮内容物除去手術を行います。

方法は2つあり、小さなスプーンのような機器で内容物を掻き出す掻把方と、吸引機を用いて内容物を除去する吸引法です。

まずは子宮口を開く処置を行い、静脈麻酔をしてから行います。

所要時間は10〜15分ほどで、痛みや出血も少なく経過によってはその日に帰れます。

妊娠中期の中絶手術の内容とは?

子宮口を開く処置を行った後、子宮収縮剤を使って陣痛を引き起こし、胎児を出産する方法です。

強制的に陣痛を引き起こして出産するため、体への負荷もあり数日の入院が必要です。

12週以降に死産すると、墓地埋葬法に従って胎児を火葬します。

そのため妊娠中期の出産は、埋火葬許可証や死産届が必要です。

初期中絶と中期中絶の違いを解説

手術が行える期間が異なります。

初期中絶は妊娠6週〜妊娠11週6日まで、妊娠中期は妊娠12週〜妊娠21週6日までです。

手術方法は妊娠初期は搔把法もしくは吸引法、妊娠中期は薬を使った誘発分娩です。

掻把法や吸引法は体への負担も少ないですが、誘発分娩は体への負担が大きくなります。

中絶が間に合わなかった場合の選択方法

22週以降の中絶は、母体保護法によって禁止されています。

中絶を行った場合、妊婦さん本人や中絶を行った医師も罰せられるでしょう。

ですが、経済的もしくは身体的な理由で育てられない場合は出産後に特別養子縁組制度や里親制度があります。

出産後、育てられなかったときに検討しましょう。

まとめ

妊娠中絶ができる期間は母体保護法によって決まっています。

22週以降に行うと、堕胎罪に該当するので注意しましょう。

22週までに間に合うには、出生検査を15週までに行う必要があります。

赤ちゃんとお母さんのためにも、最善の選択をしてください。