妊婦健診で逆子と言われた!治すためにできることって?
逆子と診断され、予定日が近くなると不安になりますよね。
この記事では、逆子になる原因や種類、そのリスクについても説明します。
記事の中では、逆子を治すための逆子体操のやり方も紹介しています。
この記事の内容
逆子とは?どのくらいの確率なの?
逆子とは、赤ちゃんの頭がお母さんの体の下を向いていない状態のことです。医学用語では「骨盤位」と呼びます。どのくらいの確率で起こるのでしょうか?
逆子ってどんな状態?赤ちゃんの体勢は?
一口に赤ちゃんの頭が下を向いていない状態といっても、赤ちゃんがどんな体勢をしているかで分類があります。
逆子の原因は?
原因がはっきりしていないことが多いですが、ママと赤ちゃんのどちらかに理由があって、赤ちゃんが子宮の中で回るのを妨げられることによって逆子になると言われます。
確率ってどのくらい?
妊娠中期まで赤ちゃんは自由に向きを変えることができ、超音波検査では約40%が逆子です。なので、逆子と言われても過度に不安に思う必要はありません。赤ちゃんは頭が一番大きいので出産に向けて頭が下に固定されることが多いです。30週で85%が、34週ごろには90%以上が、臨月である36週になると約95%が頭位になります。出産時に逆子である場合は約3〜5%ほどです。
胎動の感じ方は?
出産までにほとんど頭位になるよと言われても、逆子だと知ると不安になりますよね。はっきりと見分けるのは難しいですが、胎動の感じ方である程度の推測はできます。逆子のときは、手足が下にあることが多いため、胎動を下腹部や足の付け根の辺りに感じる方、膀胱の近くを蹴られて胎動を感じるとトイレに行きたくなるという方もいます。しかし、体勢によって胎動の位置は変わるので、胎動だけで逆子かどうかをはっきりと見分けることは難しいです。
逆子のままだと出産はどうなるの?
逆子と診断され、治らなかった場合にはどのように出産をおこなうかを考えておきましょう。設備の整った病院で出産を行うために、家族や医師に相談することをおすすめします。
逆子での経腟分娩リスクとは
経腟分娩では以下のようなリスクがあるため、帝王切開になることがほとんどです。
- 産まれるときにけがをしてしまう
赤ちゃんは頭が一番大きく、頭位では一番大きな頭が産道を通過した後に体がスムーズに出てきます。しかし、逆子では体が先に出てくるため頭が引っかかり、鎖骨や腕などを骨折する可能性があります。頭が引っかかることで首に負担がかかり腕の神経が一時的に麻痺してしまう危険もあります。
- へその緒が外にでてしまう
お尻や足が下になると頭ほど大きくないために、骨盤との間にすき間ができやすいです。このすき間からへその緒が出て産道に挟まると、赤ちゃんに酸素が届かなくなり低酸素状態になる可能性があります。
- お産に時間がかかる
産道を頭で圧迫する刺激がなく強い陣痛が起こりにくいため、分娩が長引く可能性があります。
帝王切開について
先ほど述べたようなリスクを避けるため、逆子の場合は陣痛が起こる前に計画を立て、予定日に帝王切開で出産することが多いです。妊娠34〜35週で逆子の場合に帝王切開の予定を決めて、必要な検査などを行います。帝王切開の予定を決めた後に頭位に戻ることもあり、その場合は帝王切開の予定はキャンセルされます。
逆子体操の方法と注意点
逆子と言われたら、治すために何かしたい!と考えますよね。自宅で取り組める逆子体操を紹介します。
逆子体操の効果とは
逆子体操を行うことで100%頭位になるというわけではありませんが、逆子体操で頭位になったという人は大勢いますので、赤ちゃんに「頭が下だよ」など声をかけながらチャレンジしてみましょう。
逆子体操の方法
逆子体操は骨盤の位置を頭より高く上げることで、脳の下垂体という部分を刺激し赤ちゃんの動きを活発にして赤ちゃんが動くのを期待するものです。妊娠週数が早いうちは自分で動くことがほとんどなので、妊娠30週以降に行います。
- 胸膝法
四つん這いでお尻をあげ、胸を床に近づけます。猫のポーズとも呼ばれます。顔の下にクッションを敷いてどちらか横に向けておきます。手は前に出しておきましょう。
- ブリッジ法
仰向けになってお尻を高く持ち上げます。クッションやタオルを腰の下に入れてお尻を持ち上げた状態をキープします。
はじめは短い時間から、慣れてきたら15分ほどその状態を維持します。終わったら横向きになって休みます。寝る前に行い、そのまま眠ってしまってもよいでしょう。赤ちゃんの向きによって、どちら向きに横になるのが効果的か変わります。担当の医師にどちら向きに寝るのがよいか聞いてみましょう。
逆子体操のポイント
逆子体操は激しい運動ではないので難しくはないですが、効果を高めるためのポイントがあります。効果的に行えるようにポイントを押さえておきましょう。
身体を温める
必ず寒くない部屋で行い、身体が冷えないように気をつけましょう。身体が冷えていると子宮の筋肉が収縮して固くなり赤ちゃんが動きにくくなってしまいます。入浴後に行ったり、カイロやレッグウォーマーを使ったりして身体が温まっている状態で行います。
ストレスを溜めずに行う
「このまま戻らなかったらどうしよう」「手術は怖いな」など心配ばかり考えていると、ストレスを溜めてしまうことになります。ストレスを溜めることは血液の循環が悪くなって身体が冷えることに繋がります。また、東洋医学では悩み事があると頭に血流が集中し下半身が冷えるとされています。「ママと一緒に頑張ろうね」「下向きになってくれたら嬉しいな」など声をかけながら、前向きな気持ちで取り組んでみましょう。
逆子体操を行うリスク
逆子体操にはリスクを伴う可能性があります。実施するときには、医師の許可を得てから行いましょう。
早産につながる可能性がある
逆子体操を行い、身体を大きく動かすことでお腹に圧力がかかり赤ちゃんが下に降りてきてしまう可能性があります。また、赤ちゃんのお尻が骨盤の近くにあるので、骨盤に対して大きな力がかかることで破水に繋がる可能性もあります。
赤ちゃんに臍の緒が巻き付いてしまう
逆子体操では、赤ちゃんの動きを促しそれによって向きが変わることを期待します。赤ちゃんがぐるぐると動くことで胎盤から繋がったへその緒が赤ちゃんに巻き付いてしまう危険があります。巻き付くだけでなくへその緒自体が絡まってしまう可能性もあります。
お腹が張りやすくなる
逆子体操を行って身体を動かすと、子宮の筋肉も刺激されお腹の張りを感じやすくなります。子宮が収縮しお腹が張っていると、赤ちゃんが動きにくくなってしまうため効果は出にくくなります。お腹の張りを感じたら逆子体操は中止してください。
腰痛が悪化する
逆子体操の中でも、ブリッジ法では特に腰に負担がかかってしまい腰痛が悪化してしまう人もいます。お腹が大きくなると腰を反らせた姿勢になってしまうため腰痛が起きやすくなります。ブリッジ法ではさらに仰向けで腰から背中にかけての筋肉を伸ばすことになり腰痛が悪化してしまいます。腰痛がある方は仰向けで逆子体操を行うことは避けた方がよいでしょう。
気分が悪くなる
逆子体操では、骨盤の位置を頭よりも高くあげます。そのため、赤ちゃんは重力によって上の方、つまり胃の方向に移動してきます。胃が圧迫されることで胸やけが起こったり、呼吸が苦しく感じたりします。逆子体操の途中で気分が悪くなったときにはすぐに中止し、横になって休んでください。
逆子体操を行う際の注意点
逆子体操には先ほど述べたようなリスクもあるため、注意点を確認してから行いましょう。
長い時間頑張らないようにする
逆子体操は一般的な運動とは違い、頑張った分だけ結果に繋がるというものではありません。途中で身体のどこかに痛みを感じたり、しんどいと感じたりするときには無理せず中止して休息を取りましょう。
つらいときは無理しない
逆子を治すためには、先ほども説明したようにストレスを溜めずに、リラックスした気持ちで過ごすことも大切です。体調や気分が優れないときや、家事や仕事ですごく疲れているときなどに無理に行う必要はありません。
逆子体操以外で逆子を治すことはできる?
逆子体操はあくまで赤ちゃんの動きを促し、自分で回ってくれることを期待するものであり、効果は100%ではありません。最後に、逆子体操以外に逆子を治すためにできることをお伝えします。
鍼灸治療を受ける
逆子に対するおすすめの治療として、鍼灸治療が挙げられます。お灸を実施して逆子が治ったという人はたくさんいます。逆子に対するお灸では、至陰と三陰交というツボにお灸を据えることで、赤ちゃんの動きを促すことが期待できます。また全身の血流を改善して、子宮の収縮を緩める効果も期待できます。ドラックストアなどで販売しているお灸を使って自分で行うこともできますが、鍼灸院で治療を受けることもできます。
身体を温め、リラックスして過ごす
逆子を治すためには、赤ちゃんが自分で回転してくれることが必要です。そのためには、お腹が張りすぎないようにして赤ちゃんが回りやすいようにしてあげることが必要です。そのため、身体を冷やさないように注意し、ストレスを溜めないようにリラックスして過ごすことも重要です。飲み物は常温のものを飲み、腹巻きやレッグウォーマーを活用して下半身が冷えないように気をつけましょう。
外回転術を受ける
様々な方法を試しても逆子が治らない場合、病院で外回転術を受けることも選択肢のひとつです。お腹の張り止めの薬を使って仰向けに寝た状態で、医師がお腹の上からエコーで確認しながら手で赤ちゃんを回転させます。外回転術は、赤ちゃんを回転させたときに子宮の壁から胎盤が剥がれてしまう常位胎盤早期剥離や、赤ちゃんの心拍の異常を引き起こし1〜2%は緊急帝王切開になることがあります。外回転術自体の成功率は60〜70%といわれています。赤ちゃんの体勢や胎盤の位置によっては外回転術が難しい場合もあるため、希望する場合は医師に相談し十分に説明を受け、同意した上で受けるようにしましょう。
まとめ
妊婦健診で逆子と診断されると、赤ちゃんのことや出産のことで不安でいっぱいだと思います。予定日までに自然に回ってくれることが多いですが、超音波検査のたびに逆子と言われると不安も増してしまうものです。この記事を読んで逆子について知り、無理のない範囲で逆子を治すためにできることを取り組んでみましょう。赤ちゃんに声をかけながら、リラックスした気持ちで取り組んでくださいね。
参考文献
国立成育医療研究センター「骨盤位外来」
日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン−産科編2017」