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妊娠中の頻尿で寝不足に?原因と改善方法をご紹介

「妊娠中寝付けなくて寝不足気味」「頻尿で何度も起きてしまう」といった悩みを抱えている妊婦さんも多くいらっしゃるでしょう。そこで今回は、そんな悩みを持った方のために、妊娠中の寝不足の原因について解説いたします。

妊娠中の寝不足は、胎児への影響がないかなど不安になりがちです。妊娠中の寝不足を改善する方法も分かりやすくご紹介しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。

妊娠初期の寝不足の原因

妊娠初期の寝不足の原因についてご紹介いたします。

生活リズムの乱れ

妊娠初期にはプロゲステロンというホルモンが多量に分泌されます。プロゲステロンの量が多いと、分解されてアロプロゲステロンが分泌されます。

アロプロゲステロンは、日中でも睡眠薬を飲んだのと同等レベルの眠気を引き起こすホルモンです。そのため、日中に昼寝をしすぎてしまい、徐々に昼夜逆転の生活になり、寝不足に陥ることがあります。

高温期

排卵するとプロゲステロンというホルモンが分泌されます。通常、生理が来るとプロゲステロンは減少し、基礎体温は低下していきますが、妊娠が成立すると、プロゲステロンがさらに分泌され、高温期を保ちます。基礎体温が高いと、寝付きにくくなったり、寝苦しさを感じて睡眠の質が下がります。

ホルモンバランスの乱れ

妊娠中は以下の3つのホルモンが分泌されます。

  • hCGホルモン
  • エストロゲン
  • プロゲステロン

これらのホルモンバランスが変化することにより、自律神経が乱れ、寝不足を引き起こします。

頻尿

頻尿は妊娠中のマイナートラブルとして知られています。子宮が大きくなり膀胱を圧迫してしまうことが原因です。

頻尿で目が覚めてしまい、寝不足を感じる妊婦さんが多くいます。

つわり

つわりが原因で妊娠に気付く妊婦さんも多く、妊娠初期症状の代表的な症状です。つわりは主に妊娠初期の妊娠8〜10週ごろにひどくなる方が多い傾向にあります。

昼間につわりがひどく、夜には治るため昼夜逆転し、寝不足になってしまう方や、昼夜問わずつわりに苦しみ、寝不足になってしまう方など、さまざまです。

なぜ妊娠すると頻尿になるの?

妊娠中に頻尿になる原因は、以下のとおりです。

  • 腎臓機能の低下で、尿量が増える
  • 子宮の膨張化で、膀胱が圧迫される
  • プロゲステロンにより、膀胱や子宮の筋肉がゆるむ

腎臓機能の低下で、尿量が増える

妊娠中は妊娠前と比べて、腎臓に流れる血液量が約30%、糸球体で血液をろ過する量が約50〜60%増えます。そのため、妊婦さんや腎臓への負担が大きく、腎臓機能が低下します。腎臓機能が低下することによって、尿の濃縮力が低下するとともに頻尿になります。

子宮の膨張化で、膀胱が圧迫される

膀胱は子宮の目の前にあります。そのため、赤ちゃんが大きくなり、子宮が膨張していくにつれて、膀胱が圧迫されます。膀胱が圧迫されると、脳が膀胱に尿が溜まっていると勘違いして、頻尿を引き起こします。

プロゲステロンにより、膀胱や子宮の筋肉がゆるむ

前述したように、妊娠中に分泌されるホルモンの1つにプロゲステロンがあります。プロゲステロンは、暴行や子宮の筋力を緩める効果があるため、頻尿につながります。また、妊婦さんのマイナートラブルとして知られる尿漏れの原因もプロゲステロンの膀胱や子宮の筋力が関係しているのでしょう。

妊娠中の間違った頻尿対策

妊娠中、何度もトイレに行くのは億劫に感じるかもしれませんが、間違った頻尿対策は行わないようにしましょう。

水分摂取を控える

頻尿対策として水分摂取を控えればいいと考えている方もいるかもしれません。しかし、水分摂取を控えると、体外へ老廃物が排出されず、赤ちゃんにとっても妊婦さんにとっても良くありません。

また、特につわりがある場合には、脱水症状を起こさないためにも、水分補給は大切です。水分はこまめに摂るように気をつけましょう。

トイレを我慢する

妊娠中だけではありませんが、トイレを我慢すると膀胱炎になります。膀胱炎と聞くと、頻尿や残尿感が残る症状を思い浮かべる方が多いかと思いますが、腎盂腎炎を引き起こす可能性もあります。腎盂腎炎の治療が遅れると、子宮収縮が促され、流産や早産のリスクにもつながります。

また、こまめにトイレに行くことで、妊婦さんのマイナートラブルの1つである尿漏れの予防にもなるため、我慢せずにトイレに行きましょう。

妊娠中の頻尿を改善する方法

妊娠初期の頻尿を改善する方法をご紹介いたします。

排尿時に前屈みになる

排尿時には、膀胱が空になるように前屈みになりましょう。膀胱を空にしておくことで、膀胱が刺激されるのを遅らせることができます。

利尿効果のある飲み物は控える

妊娠中のカフェイン摂取は控えるべきだとされていますが、1日に1杯程度のコーヒーや紅茶ならさほど影響はないと言われています。しかし、これらカフェインが含まれる飲み物には、利尿効果があるため、頻尿に悩んでいる場合は飲むのを控えるのをおすすめします。

骨盤底筋の体操

骨盤底筋は骨盤や子宮を支えて合える筋肉です。骨盤底筋の体操を行い、骨盤底の筋力を強化することで、頻尿を防げるほか、尿漏れ対策にもつながります。

注意したい妊娠中の頻尿の症状

注意したい妊娠中の頻尿の症状は、以下のとおりです。

膀胱炎

妊娠中は、以下の理由から膀胱炎になりやすいです。

  • 尿の流れが悪く、細菌が増殖するため
  • 膀胱の筋肉がゆるめため

先ほども少し触れましたが、膀胱炎は、以下のような症状があります。

  • 頻尿
  • 残尿感が残る
  • 排尿時の痛み
  • 血尿

腎盂腎炎

膀胱炎がひどくなると、腎盂腎炎を引き起こす可能性が高くなります。こちらも先ほど触れましたが、腎盂腎炎になると、子宮収縮が起こり、流産や早産のリスクが高まるので、膀胱炎を安易に捉えないように気をつけましょう。

妊娠後期の寝不足を改善する方法

妊娠後期のあらゆる原因からの寝不足を改善する方法をご紹介いたします。

抱き枕

抱き枕は、おなかの大きくなる妊娠後期に便利なアイテムです。おなかが大きくなると、寝苦しさを感じて寝付きにくくなります。そんな時には抱き枕を抱き抱えて寝ると、おなかの重さが軽減され、寝不足改善につながるでしょう。

適度な運動

適度に運動することは、睡眠の質を上げます。妊娠後期の寝不足の原因の1つに体力が余っていることがあります。妊娠後期になると、おなかが大きくなり、動くのが億劫となるため、運動不足になりがちです。睡眠の質を上げるだけでなく、出産へ向けての体力づくりのためにも無理のない範囲で適度な運動を心がけましょう。

ストレスを溜め込まない

妊娠後期は、出産が近づいていることや寝不足などでストレスが溜まる傾向にあります。ストレスを溜め込むと、交感神経が活発になり、不眠につながります。ストレスを溜めないように、適度な運動を行うなどして、リラックスできる時間を持ちましょう。

ぬるめのお風呂につかる

湯船に入り、体温が上がると、その後体温が下がる頃に眠気が訪れます。熱すぎる湯船に入ると、交感神経を刺激し、体は活動体制に入ってしまうので、湯船のお湯はぬるめに設定しましょう。

横向きで寝る

妊娠後期になると、おなかが大きく、仰向けに寝ると圧迫感を感じたり、寝苦しく感じ、寝つきにくくなります。横向きで寝ることで、背中にある太い血管への圧迫がなくなり、寝苦しさが解消されるでしょう。特に、左側を下にして寝ると、肝臓に負担をかけないためおすすめです。

まとめ

妊娠中は全体を通して寝不足に悩まされる方が多いです。その原因は妊娠時期によって異なり、妊娠初期には生活リズムの乱れ・高温期・ホルモンバランスの乱れ・頻尿・つわりが原因となります。特に頻尿は膀胱炎や腎盂腎炎である可能性もあるので、注意が必要です。頻尿を安易に捉えず、頻尿対策を行い、寝不足を改善しましょう。

参考文献

・厚生労働省ー妊婦健診Q&A

・厚生労働省ー妊娠中の症状等に対応する措置