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出産前に知的障害があるか判別できるのか【出産前にわかる障害とは】

生まれてくる赤ちゃんに障害があるか、ないか気になる方は多いです。

何歳から知的障害があるか判別できるのか、分からないと思います。

生まれてくる赤ちゃんに障害があるのか判別する方法や、出産前にわかる障害とは何があるのかご紹介いたします。

出生前に知的障害があるか判断できる?

出生前に知的障害があると判断できるのかご紹介いたします。

またそもそも知的障害とはどういうもののことを言うのか、確率についてもあわせて見ていきましょう。

知的障害とはどういうもの?

知的障害とは、知的能力や適応能力が低下しているため、日常生活で困難が生じてしまう状態のことです。

一般的に知的能力のIQは「99~109」あるのに対し、知的障害を持っている人はIQが「70未満」であることが多いです。

主な知的障害は、18歳までに症状が現れることが多いですが、多種多様に存在するため、軽度な症状だと大人になっても気づかない場合もあります。

知的障害になる原因は、まだはっきりと解明されていません。

出生前から出生後までの期間に、何らかの影響によって知的障害が引き起こされるケースが多いです。

知的障害を持った赤ちゃんが産まれる確率

知的障害を持って生まれてくる赤ちゃんの確率は、約3%です。

これは妊婦さんの年齢とは関係ないため、高齢出産であっても確率は同じです。

しかし染色体に異常が発生する確率は、年を重ねるごとにリスクが高くなる傾向があります。

代表的な例で言えば「ダウン症」です。

ダウン症は、29歳以下であれば1/1000以下、39歳であれば1/83、42歳であれば1/64と、年齢に合わせて確率も高くなっていきます。

知的障害と合わせてダウン症についても知っておくといいでしょう。

出生前に知的障害があるか判断するには

出生前に知的障害があるか判別するには、「出生前診断」でわかります。

出生前診断はすべての知的障害がわかるものではなく、一部の障害を判別するために用いられます。

染色体の異常について診断できるため、先ほど説明した「ダウン症」には効果的です。

出生前診断については、この後説明しますので見ていきましょう。

出生前診断でわかる障害とは

出生前診断は、染色体の異常について診断できますが、どのような診断で何が判別できるのか詳しくご紹介いたします。

出生前診断とは

出生前診断とは、子宮の中にいる赤ちゃんの発育状況や異常があるかチェックする検査です。

確定的検査(羊水検査・絨毛検査)と非確定的検査(NIPT検査)の2種類があり、リスクや精度に違いがあります。

出生前に赤ちゃんの容体を詳しく知ることで、必要な治療法や分娩方法、療育環境を赤ちゃんに合わせることができます。

出生前診断について詳しくはこちらを参考にしてください。

出生前診断でわかる障害は

症状の名称症状の内容
21トリソミー(ダウン症候群)成長障害、筋肉の緊張低下、臓器障害
18トリソミー(エドワーズ症候群)成長障害、呼吸障害、摂食障害
13トリソミー(パト―症候群)脳や臓器に障害、死亡確率が高い
ディジョージ症候群人により軽度、重度と症状が大きく異なる

知的障害があるか年齢別で判断

年齢に応じて赤ちゃんの行動が決まってきますが、知的障害があると異なった反応を起こすことが多いです。

年齢別にあわせてどのような症状があるかご紹介いたします。

0歳児の知的障害の兆候

0歳時は、個人差が激しいこともあり、知的障害の症状が出ているのか、個性なのか分からないことが多いです。

一般的に「顔を好む」習性があるので、「目線が合わない」、「キョロキョロ」しているといった症状があれば知的障害を持っている可能性があります。

その他、知的障害で見られる症状としては以下の通りです。

・だっこを嫌がる・なかなか泣き止まない・視線が合わない・反応に応じない

1歳児の知的障害の兆候

1歳になると、少しずつ簡単な言葉を話すようになります。

知的障害を持っている場合、言葉の発達が遅いため、喃語から成長しない傾向があります。

その他、知的障害で見られる症状としては以下の通りです。

・自分の好きなおもちゃに執着する・だっこを嫌がる・反応が薄い

2歳児の知的障害の兆候

2歳から言葉の発達が進むため、話す言葉の差によって知的障害があるか判断が可能です。

言葉をあまり発しない場合は、一度小児科に相談してみるといいでしょう。

その他、知的障害で見られる症状としては以下の通りです。

・コミュニケーションが上手くいかない・スキンシップを嫌がる・癇癪を起すことが多い

3歳児の知的障害の兆候

3歳になると、語彙力も増えある程度の言葉を話し始めるようになります。

また別の子供たちと触れ合う機会も増え、一緒に遊ぶようになります。

しかし他人と遊ぶことを好まず、一人遊びが好きな傾向が強い場合は知的障害の可能性が強いです。

その他、知的障害で見られる症状としては以下の通りです。

・パニックを起こすことがあり育てにくいと感じる・言葉の発達が明らかに遅い・コミュニケーションが取りにくい

知的障害の判断基準

厚生労働省が定めている、知的障害の判断基準をもとに解説します。

知能検査で測定されたIQが70以下であれば、知的障害であると定められています。

また、このIQと日常生活水準(a~d)から4つのレベルに分けることが可能です。

横軸(生活能力)と縦軸(IQ)をもとにどのランクに位置しているか判断しますが、生活能力を優先するため、IQが「Ⅰ」であっても、生活能力が「d」であれば重度の知的障害になります。

知的障害になる原因とは

知的障害になる原因は、妊娠中、出産時、出産後の3つの段階で考えられます。

状況に合わせて原因が異なるので、見ていきましょう。

胎児期に起こる可能性のある原因

遺伝的な問題や染色体の異常による原因があります。

また子宮内にいる状態では、お母さんの行動によっても左右されます。

例えば、飲酒・喫煙・薬物も原因の一つです。

出産前後で起こる可能性のある原因

出産トラブルによる、酸素や栄養の供給や循環環境に異常があるといった原因です。

医療技術が進むにつれ出生時のトラブルは少なくなってきています。

しかし医療ミスや分娩時のトラブルにより、胎児の脳に衝撃を与えてしまったことなどが原因で障害を持ってしまう可能性もあります。

出産後に起こる可能性のある原因

出産後は、外的要因による原因が多く、交通事故や感染症、頭部の損傷などが原因です。

まとめ

知的障害は、軽度なものから重度な症状まで幅広く、人によって異なるため判断するのが難しい場合があります。

年齢に応じて違和感のある行動を取っている場合は、知的障害を持っている可能性があるため、小児科に相談するといいでしょう。

出生前であれば、出生前診断を利用することでいくつかの知的障害を判別することが可能です。

新型出生前診断(NIPT)は、従来の出生前診断とは違い、早い段階から検査ができ、精度も高いためおすすめです。

従来の出生前診断では、わずかではありますが流産のリスクが生じていましたが、NIPT検査ではリスクがほとんどありません。

出生前診断を受診するか迷っている人は、NIPT検査を受診しても良いと思います。

産後であれば、0歳~3歳までの知的障害の兆候などを参考にしながら、赤ちゃんの様子を観察しましょう。

参考文献

・厚生労働省ー調査の結果