妊娠中に自転車に乗っても大丈夫?前かがみになる注意点もご紹介
妊娠中は大事な赤ちゃんを守るため、おなかを圧迫する無理な姿勢は避けたいものです。
前かがみになるだけではなく重い荷物を持つと血行不良になることもあり、妊婦さんの負担になります。
さらにおなかを圧迫すると、子宮収縮にともなう切迫状態になる可能性もあります。
赤ちゃんや子宮へ負担をかけないためにも、妊娠中は極力おなかを圧迫しないように注意しましょう。
この記事の内容
妊娠中に避けた方が良い姿勢とは?
妊娠が進むとだんだんおなかが大きくなり、妊婦さんの背中や腰にかかる負担が増えます。
さらに長時間無理な姿勢を続けていると、下半身がむくみやすくなる、切迫流産や早産のリスクが上がるなどの危険性があります。
重い荷物を無理に持ち上げる姿勢はNG
重いものを持ち上げると、おなかに力が入ってしまい子宮収縮の原因になります。
子宮収縮が切迫流産や切迫早産につながるリスクもあります。
さらに荷物の移動は体力を使う作業であり、体力の消耗も無視できません。
荷物を持ち上げるときには、いったん膝をついて荷物を近づけ、両手でしっかり抱えてゆっくり持ち上げるようにしましょう。
前かがみになり荷物をもつと、背中や腰を痛める、転倒するなどのリスクがあります。
ずっと立ちっぱなし、同じ姿勢での作業・仕事
長時間立ちっぱなしの仕事は、子宮が大きくなる妊娠中期以降にはとくに注意が必要です。
胎児の重みが子宮にかかり、切迫早産のリスクが高くなります。
さらに妊娠後期になるとむくみやすくなりますが、むくみから下肢血栓症や妊娠高血圧症候群といった病気が起きる可能性もあるのです。
長時間立ち仕事や同じ姿勢を続けるときは、時間を決めてこまめに休む、おなかの張りを感じたらすぐに横になるなどの対策が必要です。
妊娠中に前かがみになる姿勢は大丈夫?
妊娠中は上の子どもを抱っこしたり、掃除機の操作や床に落ちた物を拾いあげたりする等、前かがみになることが少なくありません。
前かがみになると心配なのは、子宮や胎児への影響です。実際にどんな心配があるのでしょうか?
妊娠中に前かがみの姿勢になることは大丈夫?
妊娠中に前かがみになるからといって、子宮や胎児がつぶれるようなことはありません。
ただ子宮を圧迫することで、子宮の筋肉が収縮しておなかの痛みを感じます。
これが子宮収縮ですが、この状態がずっと続くと子宮が固く狭くなり、胎児が窮屈な思いをします。
切迫早産や切迫流産の可能性もでてくるので、妊娠中は前かがみになる姿勢はできるだけ避ける方がいいのです。
前かがみになるのがつらい時の解消方法
妊娠中は掃除や入浴、椅子から立ちあがるなど日常の動作で前かがみになる機会が多く、そのたびに体がつらいと感じやすくなります。
このつらさを解消するためには、動作をゆっくり、丁寧に動かすことが大切です。
またできるだけ背筋を伸ばし、正しい姿勢を意識するだけでつらさが軽減します。
もちろんおなかの張りを感じたら、すぐに安静にして様子をみてください。
妊娠中の自転車や車の運転はNG?
妊娠中は、買い物や上の子の送迎などで自転車に乗る機会があります。
多くの妊婦さんにとって自転車や車は日常の足で、決して切り離すことはできません。
ただ注意して欲しい点もあります。
妊娠中に自転車や自動車の運転を避けた方が良い理由とは?
妊娠中に自転車を運転すると、ちょっとした拍子で転倒したときに、切迫流産や切迫早産などのリスクがアップします。
車の運転ももし事故が起これば腹部に衝撃を受け、子宮や胎児への影響も無視できません。
妊娠中に自転車や車の運転をすることにはリスクがあります。
妊娠初期
妊娠初期はつわりを感じる妊婦さんが多く、体調不良で自転車に乗ると転倒や事故の可能性がアップします。
ホルモンの変化で脳貧血が起きやすく、立ち眩みや注意力低下により危険性が高まります。
妊娠中期
安定期になるとつわりはおさまりますが、おなかがどんどん大きくなっていきます。
重心が変化することでバランスがとりにくくなり、転倒リスクが心配されます。
自転車に乗った時の振動が子宮につたわると、子宮収縮につながる点も無視できません。
妊娠後期
妊娠後期は中期以上におなかが大きくなるため、自転車に乗るのがむずかしくなります。
足元も見えませんし、バランスもとりにくいでしょう。
転倒すると切迫早産のリスクが高まります。
自転車に乗ると骨盤がゆがむリスクもあり、逆子の可能性が高くなるとも指摘されています。
自転車は揺れだけではなく転倒リスクあり
自転車が揺れることで子宮や胎児に対して悪影響が心配されますが、一番深刻なのが転倒です。
とくに臨月はいつ出産してもおかしくない時期ですので、転倒することで破水すると大変危険です。陣痛が始まるリスクもあります。
妊娠中全期間をとおして、自転車の運転には充分注意してください。
自動車の運転は慎重に!シートベルトの正しい使い方
妊娠中はシートベルト着用免除が法令によって決められていますが、これは破水や出血時のみの措置で、妊婦さんもシートベルト着用義務があります。
ただおなかが大きいため、以下のような点に気をつけてください。
・シートには深く腰掛ける
・腰部のベルトはおなかの上を避け、おなかの下にかける
・肩ベルトもおなかの上にこないように注意する
・ベルトのねじれ確認、バックルは確実に差しこみベルトが外れないことを確認
妊婦さんが家事で気をつけること
妊娠中でも家事をしないわけにはいきません。
安定期になるとつわりも軽減され、かなり動きやすくなります。
ただし妊娠中であることに変わりはありませんので、無理は禁物です。
一気に掃除を終わらせようとしない
忙しい妊婦さんは効率よく掃除を片付けようとしがちですが、妊娠中は平常時とは違います。
おなかが前にせり出してくるためバランスが悪く、急いで動くと転倒リスクがあります。
バランスの悪い体勢は腰痛の原因になるうえに、一気に家事をすませようとすれば動機や息切れの原因になります。
「床掃除がおわったら、2時間休んで次は買い物」と、ゆとりのあるスケジュールで行動しましょう。
脚立を使う家事はNG!家族の協力を
高い場所にある物をとろうとして脚立を使うのはNGです。
妊娠中は体のバランスが悪くなっており、転倒リスクがアップしています。
万一、脚立から転倒すると大きなトラブルにつながる可能性もあるでしょう。
重い荷物の運搬や高い場所にある物を取るなどの危険をともなう家事は、家族に協力してもらうのが無難です。
就寝時の注意点は?
おなかが大きくなると、就寝時に「おなかが圧迫されていないか」と心配になります。
仰向けでの就寝はおなかの圧迫にはなりませんが、妊婦さんの負担になりかねません。
ではどのような点に注意すればいいのでしょうか?
無理のない横向き寝やシムス位がおすすめ
妊娠中は無理のない横向き寝やシムス位がおすすめです。
横向寝は一番熟睡できると言われており、子宮が内臓を圧迫しない、腰全体に圧がかからないので腰痛に効果的です。
シムス位は妊婦さんのための寝姿勢ともよばれており、体への負担はかなり軽減されています。
こちらも腰痛対策になり、腹部の圧迫や、呼吸低下などを避けることができます。
苦しくなければ仰向けでも大丈夫
まだおなかが大きくなく、仰向けで眠るのが苦痛でなければ仰向け寝でも大丈夫です。
ただおなかが大きくなるにつれて、仰臥位低血圧(ぎょうがいていけつあつ)になるリスクが高まります。
大きくなった子宮が静脈を圧迫し、一時的に低血圧になる症状です。
もし仰向け寝で息苦しさを感じたら、態勢を変えてみましょう。
妊娠中は動きやすい服装で無理な姿勢を防ぎましょう
妊娠中にタイトな服装は、血行不良やおなかの圧迫という点でよくありません。
妊娠中におすすめの服装は、動きやすく体をふんわり包み込んでくれるゆとりのあるものです。
具体例をチェックしてみましょう。
毎日取りかえられる下着は重要!最適な素材は?
妊娠中は膣から分泌されるおりものが増え、汗をかきやすくなります。
清潔な下着を多めに準備し、とくに夏場はこまめに取りかえるのが理想です。
肌に優しい綿や絹を使った下着が良いですが、天然繊維と合成繊維でできた下着でも問題ありません。
冷え対策に腹巻も有効です。
動きやすい服装について
ジャンパースカートやワンピース、緩めのスパッツ、ウエストを締めつけないゴム入りスカート など、下半身を締め付けない服装を心がけましょう。
妊婦健診や超音波検査等がしやすいように、前が開いたもの、上下別々の洋服も便利です。
靴はローヒールやスニーカーなど、高さの低いものでお願いします。
まとめ
妊娠中はおなかを圧迫しないよう、前かがみになる動作はできるだけ避けるのが無難です。
自転車や車の運転も、転倒や事故リスクがあるため慎重におこないましょう。
参考文献
・厚生労働省-働きながら安心して妊娠・出産を迎えるために
・厚生労働省-働く女性のこころと体の応援サイト(働く女性の方)
・e-GOV-昭和三十五年政令第二百七十号道路交通法施行令