1人目が帝王切開の場合2人目の出産は帝王切開?メリット・デメリットは?経腟分娩との比較やリスク解説
帝王切開(手術)により出産する妊婦さんは、4人に1人とかなり高い割合になっています。
そのため、第1子を手術で出産した妊婦さんも珍しくありません。
では第2子はどういった出産方法になるのでしょうか?もし1人目を帝王切開で出産したら、2人目も同じ方法で出産しなければならないのでしょうか?
2人目も帝王切開で出産する例は多いのですが、必ずしも手術を実施しなければならない、というわけではありません。
帝王切開のメリット・デメリットも含めて、詳しくみていきましょう。
この記事の内容
帝王切開はどんな出産方法?
帝王切開とは、メスで母体の腹部や子宮を切り開いて赤ちゃんを出産する方法です。
多数の妊婦さんがこの方法で出産していることからもわかるように、安全で信頼できる外科手術として定着しています。
帝王切開の定義について
帝王切開はメスをつかって妊婦さんの子宮を切りひらき、出産へと導く外科手術です。
この手術には縦に切る方法、さらに横に切る方法の2種類の方法があります。
・縦切開…縦にメスを入れる方法です。
医師にとっては縦に切る方がお腹を大きく空けることができるため、急ぎの手術の場合にはこの方法が選択されます。
お腹の筋肉繊維は縦に走っているため、縦切開の方が筋肉を傷める可能性が低く、さらに術後の回復が早い点が利点です。
ただ手術跡が目立ちやすく、切開部にケロイドなどが残る可能性には注意が必要です。
・横切開…おへその下、横方向にメスを入れて出産する方法です。
縦方向に比べて傷が目立ちにくく、見た目もきれいなのが良い面です。
ただ筋肉に逆らって切開するため、臓器などが癒着しやすいのが問題点になります。
胎児を取り上げるにも時間がかかるため、急ぎの場合には適用できません。
帝王切開の種類
帝王切開には切開方法に違いがありますが、ほかにも予定帝王切開と緊急帝王切開の2種類の方法があります。
・予定帝王切開…医師の判断で、あらかじめ手術で出産することが決まっている場合にこう呼ばれます。
逆子や多胎妊娠、妊婦さんが前置胎盤になっている、子宮筋腫になっているなどの理由で選択されます。
あらかじめ決まった日時に手術をするため、妊婦さん側の準備もしやすく安心です。
・緊急帝王切開…手術での出産を予定していなくても、状況によって急ぎの帝王切開に踏みきることがあります。
例えば胎児の心音が下がる、自然出産の途中で赤ちゃんの体の一部が子宮内に引っかかるなどです。
ほかにも妊婦さんが前置胎盤で大量出血を起こす、へその緒が子宮外に出るなど予定より早く分娩が始まったときも、この方法が選択されます。
帝王切開のメリット・デメリット
帝王切開は安全な出産方法として、医療現場ではすでに定着しています。
ただし外科手術であることに変わりはありませんので、その利点や問題点について理解しておくとよいでしょう。
帝王切開を受けることで得られる安心
帝王切開にはさまざまなメリットがありますが、よく知られているものは以下のようになります。
- 妊婦さんや胎児のリスクを低減できる
- 陣痛を感じない
- 出産時間が短い
- 出産する日時を決められる
もし妊婦さんが持病などで体調悪化や体力低下が心配される場合、手術を選択することで安全に出産できます。
手術は全身麻酔か部分麻酔を使用するため、術中は痛みを感じにくくなっています。
出産時間も30分から1時間前後で終了します。
自然分娩は初産の場合、半日以上かかることもあるため、出産時間はかなり短縮されていると言えます。
帝王切開を受けることであり得るリスク
利点の多い帝王切開ですが、問題点もあります。
外科手術ですので、どうしても傷跡が残ることがデメリットになります。
ほかにも以下のようなリスクがあります。
- 傷が癒えてもかゆみ・痛みを感じることがある
- 癒着のリスクがあがる
- 第2子以降の出産で手術になる可能性が高くなる
- こころの傷
手術で残る傷が痛み、かゆみを感じるケースがあります。
また癒着とは傷が治る段階で、本来は離れている組織が結びつくことです。
たとえば子宮と大腸の一部が癒着することもありえます。
こころの傷ですが、予定外の手術を受けた等のトラブルで理想のお産ができなかったと感じる可能性があります。
麻酔が切れればかなりの痛みを感じるため、陣痛の痛みと単純に比べることはできません。
1人目、2人目と帝王切開を経験したお母さんの声
1人目を帝王切開で出産した方が、2人目も同じ手術で出産することは決して珍しくはありません。
2人続けて帝王切開、多少癒着はあっても大丈夫でした
1人目出産は30歳のとき。
自然分娩の予定だったのですが、なかなか子宮口がひらかず5cm程度でずっと陣痛に耐えていました。
それから4時間たっても子宮口がほとんど開いていないということで、私の体力も考えて手術に切り替えました。
トラブルはありませんでしたが、麻酔が切れたあとの痛みがきつかったです。
2人目の出産は35歳のときでした。
前回帝王切開だったことと年齢の問題で2人目も手術でした。
でも予定した通りの出産だったので精神的に楽でしたよ。
でも2回目ということで多少は癒着していました。
先生に適切に処置していただき、今は問題ありません。
突然の緊急帝王切開!心の傷がのこりました
逆子がなおらずに1人目は決まった日時に帝王切開で出産しました。
縦切開で傷跡がかゆくなったり痛くなったりの問題はありましたが、手術中も術後も大きな問題なしでした。
2人目は経過もよかったので「つぎは普通分娩できるかも」と主治医に言われていました。でも35週半ばに突然、破水したんです。
急いで病院に行ったら即入院でした。
1分おきにくる激しい痛みに耐え、翌日のお昼に「胎児の心音が下がってる!」と言われ即手術になりパニック状態でした。
前回より皮膚が引っ張られる感覚があったので気持ち悪かったです。
無事に出産しましたがへその緒が赤ちゃんの首に巻きついていたらしく、体重が1,350gしかなかったのはさすがにへこみました。
麻酔の量も多かったのか途中で息がしにくくなり、酸素吸入などのトラブルが起きました。
1人目が帝王切開なら2人目も同じ手術が必要?
1人目が帝王切開の場合、2人目も必ず同じ手術になるわけではありません。
ただ妊婦さんの条件によっては、2人目も手術をすすめられる場合があります。
子宮破裂のリスクの回避
帝王切開で赤ちゃんを出産すると、お腹だけではなく子宮にも傷が残ります。
一度メスが入った子宮筋層は、通常の子宮筋層より薄くなっていることもあります。
もし次の出産を普通分娩でおこなう場合、弱くなった子宮筋層が破裂する可能性もゼロではありません。
子宮が破裂すると妊婦さんと赤ちゃんの両方に命の危険が生じます。
少しでも安全な出産を目指す産婦人科医は「1人目が帝王切開なら2人目も同じ手術で」と、勧めることもあるのです。
帝王切開の傷跡が開くリスク
産婦人科医のなかには「1人目を帝王切開で出産した場合、次の出産は最低でも1年はあけてください」とアドバイスする方がいます。
これは手術で生じた傷跡が、完全に癒えるまでに1年かかるということです。
もし帝王切開での出産後すぐに妊娠してしまうと、メスを入れなくても手術の傷跡が自然に開くリスクがあります。
とくに2人目も持病などで手術を選択しなければならない妊婦さんは、次の妊娠時期を見極める必要があるでしょう。
妊婦さん自身のリスクを避ける
妊婦さんのなかには、高血圧や心臓病、腎臓病などの持病をもつ方もいます。
また高齢になると産道がかたくなり、難産になりやすいリスクもあります。
通常分娩ではトラブルが起きる可能性がある場合、早めに手術で出産すると決めることで、より安全なお産が実現するでしょう。
条件がそろえば経腟分娩も可能
1人目が帝王切開であっても、2人目を自然分娩で出産できるケースもあります。
ただそのためには、ある程度の条件がそろわないと難しいのが現実です。
ではその条件をチェックしていきましょう。
2人目を経腟分娩で出産できる条件
- 児頭骨盤不均衡(妊婦さんの骨盤より、赤ちゃんの頭の方が大きい)ではない
- 過去に子宮筋腫や前置胎盤の手術を受けていない
- 逆子や多胎児ではない
- 前回の手術後の経過が順調であること
ほかにもさまざまな条件を提示する病院もあるでしょう。
ただどんな条件を提示されても、一番大事なものは主治医との信頼関係です。
そのため2人目を自然分娩で出産したい妊婦さんは、事前にしっかりと医師と相談し、納得できる結論を出してください。
緊急時に帝王切開手術ができる医療機関で出産できる体制
帝王切開後に2人目を自然分娩で出産したい妊婦さんには、もしものときのサポート体制が重要です。
胎児の状態が急に悪化することで緊急手術を選ぶリスクもありますし、万一子宮が破裂するなどのトラブルが起きると、対処がかなりむずかしくなります。
設備のしっかりした病院や緊急手術に対応している医療機関を選択しましょう。
まとめ
1人目の赤ちゃんを帝王切開で出産すると、第2子も同じ手術により出産しなければならないわけではありません。
ただそれを実現するには一定の条件をクリアする必要があります。
主治医とその条件を確認し、注意点をしっかりチェックしましょう。