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妊娠10週のNTの正常値は?可能性があるのは?検査の本来の目的も解説

妊娠10週を迎えると、赤ちゃんは、臓器もふくめてほぼ体が整ってくるころです。

NT値を計測して、数値が気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、NT計測の正常値と、数値が正常値の範囲と異なるときに起こる可能性のある症状をご紹介します。

検査をおこなう本来の目的についてもお伝えしますので、参考にしてみてください。

NTってなに? 

NTとは、Nuchal Translucency(胎児項部透過像)の略称であり、赤ちゃんの首のうしろあたりに確認できるふくらみです。

超音波(エコー)検査の画像を基に計測するため、通常の診察と違いはなく、痛みなどはまったくありません。

妊娠10週は目安であり、実際に計測するのは、妊娠11週から14週がほとんどです。

多くの方は、妊婦健康診査でおこないますが、産婦人科医に通知する義務はありません。

そのため、結果に関係なく、希望する方にだけ知らせるクリニックもあります。

注意したいのは、赤ちゃんの体が横向き以外では計測できないことです。

横顔や首のうしろがくっきりと見えなければ、正確に測定できません。

赤ちゃんの体の向きが変わるのを待ちますが、同じ状況が続くときは、他の日に改めて実施します。

NTの測定値の正確性は専門家の腕が左右する

NT測定は、専門医が実施しなければ、正確な数値は把握できません。

測定する場所を特定する高い技術力は、経験もさることながら、多くのトレーニングが必要です。

正確さを期すため画像を拡大しておこないますが、赤ちゃんが小さいこともあり、微妙なずれが数値に影響を与えかねません。

実際のエコー画像から正確な数値を測定し、判断するトレーニングを重ねた医師だけが、妊婦さんに正しい結果を通知できます。

NT測定には資格もあり、検査基準の策定をおこなっている「FMF」では、認可にくわえて毎年更新テストも実施中です。

受診前に、事前にFMF有資格者であるかを確認しておくと、信頼できる結果を入手できます。

妊娠10週のNTの正常値は?

測定したNT値には、正常値があります。

妊婦さんの体調や赤ちゃんの発育しだいでは、正常値を超過することも珍しいことではありません。

あくまでも正常値は目安であり、計測する時期がずれてしまうと、正常値も変わります。

赤ちゃんの成長を知るための、ものさしのひとつととらえましょう。

妊娠10週の正常値は?

nt測定は妊娠10週が目安ですが、実際には赤ちゃんが小さくて、熟練した医師でも正確に測定できません。

そのため、妊娠11週から13週6日、赤ちゃんが45~84mmの間におこないます。

14週になると染色体異常が自然に消滅するケースが多いことも、この期間に実施する理由です。

妊娠11週の正常値は1.0~2.8mm、13週は、3.0mm以下もしくは3.5mm以下であり、診察する医師によって異なります。

正常値が2つある理由は、同じnt測定値でも、年齢を重ねた妊婦さんほど染色体異常の症状がある赤ちゃんが生まれる確率が高いからです。

そこで、測定値に妊婦さんの年齢などを加味して総合的に判断します。

とはいえ、通知を受けた妊婦さんの不安は増すばかりです。

過度な不安を与えないために、病院やクリニックごとに判断基準を設定して通知しています。

正常値より大きいのは珍しいことではない !

NTを計測する首のふくらみは「むくみ」であり、誰でも起きる一時的な生理現象です。

ほとんどは、赤ちゃんの成長にともない消えてしまい、今でも理由は解明できていません。

大人の方でも、お酒などを多く飲んだ翌日や1日中立ち続けていた日の夜などは、顔や手足がむくんでしまいます。

これは、リンパや血液など、体液を循環する機能の低下が原因です。

循環機能が整っていない赤ちゃんにとっては、検査した日にむくみが見つかっても驚くことではありません。

NTが正常値ではないときはなにを疑う?

NT測定値が正常値ではないとき、多くの方は染色体異常だけを考えますが、他の症状を疑う事例も多く見つかるのが実情です。

ここでは、NT測定値が正常値ではない場合に想定できるおもな症状を3つに分けてご紹介します。

必ず発生するとは限らないことを、ご理解ください。

リンパ管システムの発達の遅れや異常

リンパ管システムは免疫系循環機能のひとつであり、体中のリンパ液の流れを管理する仕組みです。

首のうしろのむくみは、リンパ管システムの発達が遅いことが原因で発生する可能性が高く、異常が見つかる事例は多くありません。

体や体内機能の成長には個人差があり、妊娠10週での発達スピードが遅い場合でも、成長にともなって機能を保持できるようになります。

心機能不全

心機能不全とは、心臓の機能が十分に発達していないことです。

体の循環機能は、リンパ液を統括するリンパ管システムと血液を担当する心臓が担っています。

妊娠10週の赤ちゃんは、臓器を形成できたとはいえ、体の成長に見合った機能が備わっていないことも珍しいことではありません。

心臓機能が発達すると、血液を循環させる能力も備わります。

ただし、奇形などによる機能不全の可能性もあるため、継続して診察を受けましょう。

細胞外液の成分構成異常

細胞外液は、リンパ液や血液、細胞の組織液の総称です。

それぞれ成分やバランスはある程度決まっています。

成分にはそれぞれ役割があるため、このバランスが崩れると、循環機能が低下しやすくなるなど健康を維持するのが難しくなりがちです。

リンパ液や血液をつくる機能の発達が遅くなっている可能性があります。

臓器の成長により改善することも多いため、医師と相談しながら成長を見守りましょう。

NT計測の目的は?染色体異常を見つける以外にある?

多くの方は、NT計測が染色体異常の発見を目的にしていると思いこんでいます。

しかし、赤ちゃんの首のふくらみは、循環機能の発達が不十分ではないことが原因です。

NT計測の本来の目的は、循環機能の発達状況の確認と先天性の異常を見つけることであり、その先の治療も視野に入れています。

健康な赤ちゃんでも、NT計測値が正常値ではないことも多く、必ずしも染色体異常や先天性の症状があるとは限りません。

そこで、出生前診断の一環としておこなう場合は、確定診断をおこなって染色体異常かどうかを判断します。

妊娠16週を迎える頃には、首のうしろのふくらみは消えてしまいますが、それでも残っている場合に実施するのが羊水を採取して培養する染色体検査です。

NT計測の結果が正常値ではないからといって、先天性の症状がある赤ちゃんではありません。

まとめ

妊娠10週のNT計測は、赤ちゃんの異常を早期に発見するのが目的であり、ほとんどは成長すると自然に治ります。

正常値ではない原因は循環機能の未発達が多く、個人差が影響するため心配は不要です。

欧米では、超音波検査を胎内治療できる症状の発見と、赤ちゃんのようすを安全に知るためのツールとして活用しています。

実際に診断するときは複数の検査方法を併用し、NT値だけに頼り過ぎない使い方です。