/ 妊娠中/

子宮外妊娠による流産の割合は?どのような症状が見られるの?

妊娠が分かって間もないうちは、エコー(超音波)で胎嚢がはっきり見えないケースも多く、「子宮外妊娠かもしれない」と告げられることがあります。正常な妊娠かどうかはっきり分かるまで、大きな不安を抱えてしまうのは当然です。ここでは、どのくらいの割合で子宮外妊娠になるのか、症状や診断方法、流産したあとの生活についても一緒に見ていきましょう。

子宮外妊娠と正常妊娠の違い

子宮外妊娠と正常妊娠との違いを、まずは押さえておきましょう。また、子宮外妊娠で起こり得る症状もあわせてご紹介します。

子宮外妊娠とは

子宮外妊娠は、異所性(いしょせい)妊娠のうちの1つに含まれます。受精卵は通常、子宮内膜に着床しますが、異所性妊娠の場合はこのとおりではありません。異所性妊娠という言葉からも想像できるように、子宮内膜とは別の場所で着床することを意味します。

子宮外妊娠は、子宮以外の場所に受精卵が着床する妊娠のことを示します。そのほとんどは、卵管へ着床する卵管妊娠です。

子宮外妊娠の原因やその確率は

子宮外妊娠の原因は、分からないことも多いです。ただ、危険因子として、主に以下が関係していると考えられています。

・クラミジアや淋菌感染症等の性感染症

・子宮内避妊具の使用

・中絶手術や帝王切開等の子宮手術時の傷

・体外受精

以上の要因は一例ですが、いくら予防しようと思っても防ぎきることは難しく、完璧に避けることは困難とされています。

子宮外妊娠の発生率は、おおよそ0.5%~1.5%とされています。

子宮外妊娠の症状はあるの?

子宮外妊娠になっても、時期や状態によって自覚症状が出る場合とそうでない場合があります。また、自覚症状があっても、これらは子宮外妊娠に限ったものではないことから、問診だけで判断されることはありません。

自覚症状が出た場合の、代表的な症状は以下のとおりです。

・下腹部の強い痛み

・不正出血

・妊娠の初期症状(つわり)

子宮外妊娠が妊娠初期に見られる症状と勘違いされやすい理由の1つに、つわりが関係しています。つわりは、正常妊娠の方だけでなく、子宮外妊娠でも起こることがあるため、つわりがあるからといって油断はできません。子宮外妊娠のほとんどを占める卵管妊娠では、卵管の破裂による出血が生じて非常に強い痛みや出血が見られることもあります。

生理と間違えられることも

子宮外妊娠によって卵管から出血をしても、それが生理だと勘違いされるケースも珍しくありません。生理不順や不正出血が頻繁に起こる方は特に気づきにくいと言えます。

妊娠初期で子宮外妊娠かどうか分かりにくい理由

子宮外妊娠の症状には、つわりも含まれることを先ほどご紹介しました。そのため、妊婦さん本人も子宮外妊娠だとは思わず、異常に気づきにくい状況にあります。ただ、病院へ受診したとしても、タイミングによっては判断が難しいと言われることもあり、その理由を知っておくことは大事です。

胎嚢が出来上がるまでに多少の遅れが生じることがある

子宮外妊娠か正常妊娠かの判断は、子宮内に正常に着床したことを確認できなければ行えません。

一般的には、胎嚢が見られるようになるのは妊娠5週目くらいとなっています。これには個人差もあり、妊婦さんによっては胎嚢ができるまでに遅れが生じることも珍しくなく、妊娠検査薬で妊娠反応が出てすぐに受診をした段階では診断できないことも多いのです。

妊娠検査薬で陽性でも、エコー検査で子宮内の胎嚢が分からないときは、以下の3つのケースに該当する可能性があります。

・タイミングが早すぎてまだ胎嚢ができていない

・すでに流産してしまっている

・子宮外妊娠である

時期により、明確な診断が難しい場合は、検査を受けながら経過観察をする運びとなります。

不明確なうちに子宮外妊娠の可能性を伝えるには理由がある

子宮外妊娠の確率は約0.5%~1.5%であるとご紹介しました。これを多いと思うか、少ないと思うかは人それぞれですが、どちらかと言えば少ないと感じる方が多いのではないでしょうか。

しかし、妊娠初期で子宮外妊娠の判断が難しい場合、たとえ少ない確率でも「子宮外妊娠の可能性がある」と医師から伝えられることが珍しくありません。

妊婦さんからすると、とてもショックで不安を感じずにはいられない出来事ですが、これには理由があります。子宮外妊娠である可能性を告げずに時間が過ぎてしまうと、卵管破裂によってお母さんの命に関わる事態へと発展する恐れがあるためです。

妊娠初期には化学流産もある

妊娠初期には、さまざまな理由で流産してしまうケースが少なくありません。妊娠初期での流産は、多くが染色体等の異常によるものであり、お母さんの日頃の過ごし方にはあまり関係がないとされています。

妊娠検査薬が手軽に入手できるようになった昨今で、多く見られるようになったのが化学流産です。化学流産は超音波での妊娠が確認できるよりも早い段階で流産することを指し、妊娠に気づかなければ月経として勘違いされることもあります。

子宮外妊娠の検査方法と治療

子宮外妊娠がどのような方法で検査され、治療されるのかご紹介します。

エコー検査

エコー検査(超音波検査)で子宮内に正常に胎嚢が出来ているかを見ないと、明確な判断は不可能です。一般的には妊娠4週目から胎嚢が確認できるようになりますが、この段階ではっきりとしたことが分からない場合もあります。妊娠5週目でも子宮の中に胎嚢が見られないとき、流産か子宮外妊娠の可能性がある・もしくは可能性が高いと判断されるでしょう。

hCG検査

hCGとは、妊娠中に急激に濃度が高まっていくホルモンのことです。このホルモンは、妊娠中でしか計測が難しいとされていて、正常妊娠かどうかは濃度の上昇速度が判断ポイントとなります。hCGの濃度の上昇速度は、2日ごとに倍以上になるほど速いのですが、子宮外妊娠ではこの速度がゆっくりになるどころか、横ばいのまま推移したり低下したりすることもあります。

子宮外妊娠の治療

子宮外妊娠では自然に排出されることも珍しくありません。その他の場合は手術や薬物療法、待機療法を用いて治療します。どれか1つの治療を選択するとは限らず、複数の治療法を組み合わせることもあり、どの治療が用いられるかは状況によって変わってくるでしょう。大切なのは、早期発見と早期治療です。

子宮外妊娠で流産後、生活や次の妊娠はどうなる?

子宮外妊娠を経験すると、その次の妊娠や生活への影響も気になるでしょう。将来について気になる方のために、再発率や次の妊娠についてご紹介します。

子宮外妊娠で流産した後の再発の確率は10%程度

すべての妊娠における子宮外妊娠の可能性は約0.5%~1.5%でしたが、過去に子宮外妊娠を経験した方においては再発率が高くなると言われており、確率としてはおよそ10%程度になるとされています。

片方の卵管を切除しても妊娠は可能

子宮外妊娠によって片方の卵管の切除に至っても、もう片方の卵管の機能に問題がなければ妊娠が可能です。次の妊娠を望んでいるにも関わらずなかなか授からない場合には、一度、卵管の通過性などの検査や診察を受けてみるのも良いでしょう。

卵管切除後の注意点とは?

卵管切除をした後は、入院し経過を見つつ以下の検査や治療を受けて予防につとめるのが一般的です。

クラミジア感染の検査

クラミジアに感染すると、当初は子宮頸管に感染していたものがいずれ子宮内膜や卵管に拡大していきます。卵管まで到達すると、卵管が細くなるなど妊娠しにくい状況をつくることにもなるため、注意が必要です。次の妊娠につなげたり、赤ちゃんができたときの赤ちゃんへの感染を防ぐ意味でも検査は大きな意味があるでしょう。女性・男性ともに、念のために検査を受けることが推奨されています。

検査は、女性の場合は膣に細長い綿棒のようなものを入れて、子宮頸管の細胞をこすって採取します。痛みはほとんど感じないので安心してください。仮に陽性が出た場合は、抗生剤での治療が必要となります。

子宮卵管造影

膣から子宮・卵管に造影剤を入れて撮影し、残っている卵管の状態を調べます。造影剤が使用できない方には、もっと簡単な検査が行われることもあります。この検査によって、卵管が通っているかどうかの確認や、子宮の病変等も把握できるのです。

Rh式の血液型の検査

血液型は、A型やB型などのABO型分類がよく知られていますが、その他にもRh式分類というものがあります。Rhマイナス、Rhプラスという言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

このRhが不適合だと、次の妊娠時に赤ちゃんに貧血や黄疸などが起こる可能性が出てくるため、妊娠時には血液検査を行ってRh不適合の可能性があるか把握し、管理していく必要があります。

検査の結果によっては、薬剤の注射が必要になることもあり、この注射は子宮外妊娠で流産した場合に伴う検査や処置でも行われるのが一般的です。

まとめ

子宮外妊娠はすべてのリスクに備えて予防することが困難です。妊娠を望む方にとっては残念なことですが、その後また妊娠し出産する人も多いことを覚えておきましょう。大切なのは、お母さんの命に危険が及ばないよう早めに治療を受けることです。また、できる限りリスクに備えて検査を行うなど注意することも必要となるでしょう。