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出生前診断とは?検査の種類・方法・費用についてわかりやすく解説

出生前診断という言葉を聞いたことはあるけど、具体的にはどんなことをするのか、

何がわかるものなのか、妊娠したらみんなが受けるものなのかなど、不安や疑問があるのではないでしょうか?

そこで今回は、出生前診断の目的や種類、検査方法から費用について、実情を踏まえて具体的に解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

出生前診断とは


出生前診断とは、お母さんのお腹にいる赤ちゃんの発育状態、形態異常などを調べ、先天性の病気がないかを検査することです。

出生前診断により、生まれる前に赤ちゃんの状態を知り、お腹の中での治療につなげたり、生まれてからの早期治療に繋げることができます。

出生前診断のメリット 

出生前診断を受けることで、生まれる前に赤ちゃんの状況を知ることができ、

お母さんや周囲の方の安心を得ることができます。

結果が陽性であれば、生まれる前に赤ちゃんの状況を想定して事前に準備ができます。

最適な分娩場所や分娩方法の選択、想定される疾患や障害に詳しい医師や専門家の支援を受けられるよう準備することができます。

出生前診断のデメリット

出生前診断の結果が陽性だったとき、検査を実施した施設のサポート体制が十分でない場合など、お母さんや周囲の方が大きな不安を抱えてしまうことがあります。

産むか産まないかの決断も精神的に大きな負担になり、

出生前診断で調べられる染色体異常の先天性疾患についても100%ではありません。

出生前診断の検査方法と特徴

■実際の採血ではありません。イメージフォトとして利用ください。

出生前診断には、超音波検査・クアトロ検査・トリプルマーカー検査・コンバインド検査などの「非確定的検査」と、疾患を確実に調べる、絨毛検査・羊水検査の「確定検査」の2種類があります。

非確定的検査の種類・検査方法

非確定的検査は、通常の妊娠検診のようにエコー検査で行われます。

赤ちゃんの立体的な画像や顔像度の高い断面図により、NT(首の後ろの透明な場所)・鼻骨・心臓の血流・顔貌(耳介の位置や形態)を総合的に判断し調べることができ、

お母さんやお腹の赤ちゃんに危険なリスクが少ない検査方法になります。

ただし、陽性が確認された場合には、確定的検査を受けて診断を確定させなければなりません。

NIPT(新型出生前診断)

NIPT検査は、赤ちゃんのDNAを調べる検査です。

お母さんの採血だけで簡単にできますが、検査費用は約20万円前後で、妊娠周期は10週目以降から受けることができます。

クアトロ検査

クアトロ検査は、お母さんから採血した血液成分を調べる検査です。

この検査は、母体への負担が少ない反面、お母さんの年齢や体重・家族歴などの影響を受けやすいなどのデメリットがあります。

検査費用は3万円前後で、妊娠15~17週の期間に受けることができます。

コンバインド検査

コンバインド検査は、エコー検査とお母さんから採血した血液成分を調べる検査の二つを組み合わせた検査です。

エコー検査単体、母体血液検査単体よりも制度が高いとされていますが、

結果は確率で表示され、確実な診断には確定検査を受ける必要があります。

検査費用は3万前後で、妊娠11~13週の期間に受けることができます。

確定検査の種類・検査方法 

確定検査は、それだけで診断が確定する検査で羊水検査・絨毛検査があります。
お腹から子宮内に針を刺して羊水を採取する羊水検査と将来胎盤になる部分から絨毛細胞を採取する柔毛検査の2つがあります。下記ではこの2つの検査について詳しく解説していきます。

羊水検査

羊水検査は、採取した羊水中の赤ちゃんの細胞を採取して、

21トリソミー(ダウン症候群)・18トリソミー・13トリソミー・ターナー症候群などの染色体異常の診断をしていきます。

針の太さは施設により異なり、細い針を使用している施設では、局所麻酔を使用しない場合もあります。リスクとして、出血・破水・感染などが生じる可能性もあり、検査後の流産・死産の可能性もごくわずかですがあると言われています。

絨毛検査

絨毛検査は、検査方法や検査で分かることは羊水検査と近いですが、

羊水検査よりも早い段階で実施できることが特徴です。

検査方法として、お腹に針を刺す方法と、子宮内にチューブを入れる方法があります。

こちらも羊水検査同様に、母子ともにリスクも伴う可能性があります。

出生前診断でわかる疾患

出生前診断では、赤ちゃんの先天性疾患の一部形態異常や・染色体異常など、

13トリソミー(パトウ症候群)・18トリソミー(エドワーズ症候群)・21トリソミー(ダウン症候群)を調べることができます。

染色体異常について 

染色体には、お母さんとお父さんからもらう遺伝子情報が書かれています。染色体は1番から22番まであり、性染色体(X・Y)と合わせてそれぞれ一つひとつの細胞に収まっています。

通常、染色体は2つの遺伝情報をもちますが、3つ存在する場合があります。これをトリソミーといい、21番染色体が3本ある場合、21トリソミーと呼びます。

染色体異常と流産

染色体に異常を持つ受精卵は着床しないことが多く、着床後も流産する可能性が高くなります。

染色体異常がわかる検査

染色体異常を調べる検査には、クアトロ検査・NIPT検査などがあります。

いずれの方法も陽性になった場合には、羊水検査・絨毛検査による確定診断が必要です。

出生前診断の流れ

日本産婦人科学会では、妊娠中に胎児に何か異常があると考えられる場合や、

何らかの理由で胎児が疾患をもつ可能性が高くなる場合に、正確な病態を知ることが目的だと定められています。

出生前診断は、受ける前に迷う場合はもちろん、赤ちゃんに障害が見つかった場合にも、

専門の医師やカウンセラーのカウンセリングを受けることが勧められています。

出生前診断はどこで受けられるのか、実情踏まえて 

出生前診断には、エコー検査も含まれることから、妊婦健診に通うお母さんの全てが、何らかの出生前診断を受けていることになります。

子どもの出生数は減少傾向にありますが、リスクが低く、

診断制度が高いNIPT検査などの出生前診断の実施件数は、急増しています。

出生前診断の実際の費用は 

出生前診断は、自由診療となり保険は適応されず、全て自費での検査になります。実際の費用は、それぞれの施設により詳細は異なりますが相場の費用を紹介します。

NIPT(新型出生前診断)は20万前後、コンバインド検査は3万前後、クアトロ検査は2万前後。絨毛検査・羊水検査は20万前後と検査により費用の差があります。

施設によっては、クレジット払いや分割払いにも対応してくれるところもありますので、

事前に調べておくと予定が立てやすくなります。

出生前診断の検査後のサポート体制とは

染色体異常に関わる病気について詳しく勉強した、認定遺伝カウンセラーが滞在し、

サポートしてくれる医療施設も増えてきています。

サポートを受けるには、予約が必要で自費診療となるため1時間に1万前後の費用もかかります。

数は少ないですが、オンラインで受けられることもあります。

まとめ

出生前診断について少し理解できたけど、検査を受けるか、

もし陽性だと診断されたらどうしたらいいのだろうと、不安も強くなっているのではないでしょうか?

ひとりで不安になる前に、まずは信頼できる医師に相談し、

カウンセリングを受けられるサポート体制のある病院探しからはじめてください。

参考文献

・公益社団法人 日本産科婦人科学会 – 専攻医教育プログラム2 出生前診断