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妊娠中にお腹が張るのはなぜ?こんな症状があったら受診を!

妊娠中期や後期になると、多くの妊婦がお腹の張りを感じるとされています。お腹の張りは妊娠の症状のなかでも一般的なものですが、激痛があったりなかなか治まらなかったりすると不安になる方も多いでしょう。

実際には、異常のない場合もあれば、処置が必要な場合もあります。本記事では、妊娠中によくみられるお腹の張りの原因や対処法についてご紹介します。ぜひ最後までご覧ください。

妊娠中に見られるお腹の張りとは?

お腹の張りとは、子宮が収縮してお腹がカチカチになり、下腹部の皮膚がピンと引っ張られているように感じる状態です。何らかの刺激により子宮が収縮すると、お腹の表面が腹筋を引き締めたように硬くなります。張りが強いと、痛みを感じる場合もあります。

非妊娠時のお腹の張りは、腸のガス溜まりが主な原因です。妊娠中でも、ガス溜まりによる腹部の膨満感はあります。しかし、お腹の中がぎゅっと硬くなる場合は、子宮の収縮によるものと考えましょう。

お腹が張りやすい時期

妊娠中は全期間を通してお腹が張るといわれることがあります。しかし、実際には妊娠超初期から妊娠初期に張りを感じるケースはほとんどありません。子宮の大きさが非妊娠時とあまり変わらないため、お腹が張ったとしても気づきにくいからです。

それでは、妊娠中期・後期ではどのようなお腹の張りが感じられるのか、原因と併せて確認しましょう。

妊娠5か月〜7か月の約3か月間

妊娠中期を迎えると、お腹の張りを感じる妊婦が徐々に増えるでしょう。これには子宮の大きさや筋肉の動きが関係しています。

妊娠中は、子宮の一部が頻繁に収縮しています。子宮が大きくなると一部の収縮が子宮全体に広がるため、自覚症状としてお腹が張る感覚が分かるのです。

たくさん歩いたり、無理な体勢をとったりすると、子宮の筋肉が刺激されてお腹が張りやすくなります。また、胎動が分かるようになると、お腹をついついさすってしまう方がいますが、撫でる刺激でもお腹が張るため注意しましょう。

妊娠8か月〜10か月の約3か月

妊娠後期になると、さらに子宮や赤ちゃんが大きくなり、いつ赤ちゃんが生まれてきてもいい状態に近づきます。お腹の張りの感覚が一定になるため、産婦人科からお腹の張りを記録して、平均的な回数や持続時間を把握するように指導されるケースもよくみられます。なかには、お腹が張っているときに痛みがだんだん強くなる方もいるでしょう。

37週以降は正産期に入るため、陣痛に変化する可能性が高くなります。安静にしていてもだんだんと痛みが強くなったり、頻度が増えたりするようなら陣痛を疑いましょう。

妊娠でお腹が張るのはなぜ?

妊娠中にお腹が張る原因は多岐にわたります。日常的な張りにつながるものから、突発的に張りや痛みを引き起こす要因まであるため、原因を把握して張るのを防ぎましょう。

ここでは、お腹が張る原因のなかでもよくみられるものを4つご紹介します。心当たりがある場合は原因を取り除き、お腹が張らないように気をつけましょう。

疲労やストレス

妊娠中は、たくさん歩いたり動いたりするといつもよりお腹が張るでしょう。ただし、立ちっぱなしや座りっぱなしの状態でも、お腹が張りやすくなる方もいます。そのようなケースでは、日によって張り方が変化したり、少しの運動でもお腹に負担がかかったりするので注意が必要です。

仕事や家事を含め、毎日の生活にストレスを感じているとお腹が張りやすくなることもあります。極力ストレスを溜めずに過ごすことが理想ですが、妊娠生活そのものにストレスを抱えている方もいるでしょう。適度に気分転換や、趣味に没頭する時間をつくり、上手にストレス発散しましょう。

身体の冷え

妊婦の多くは暑がりになり、暖かい日や夏場は冷房をつけて過ごす機会が増えるでしょう。しかし、妊婦の体が冷えると血管や筋肉が収縮し、お腹が張りやすくなるため注意が必要です。

特に筋肉の収縮が起こると、子宮の筋肉も収縮してしまいます。子宮収縮は赤ちゃんにも負担をかけたり、早産・逆子につながったりするため、できるだけ体を冷やさないようにしましょう。暑い日でも半身浴をし、日中は靴下を履くなどの工夫をするだけで体の冷えを防げます。

便秘

妊娠にともない大きくなった子宮が腸を圧迫したり、水分が不足したりすると便秘がちになります。数日間便が出ない程度であれば大きな影響はありませんが、しばらく便が出ない状態が続くとお腹の張りを引き起こす可能性があります。

便だけでなく、腸に溜まったガスも張りを悪化させる要因となるため、便秘やガス溜まりが気になったら早めに解消しましょう。水分や食物繊維をしっかり摂取し、便秘にならないように工夫しましょう。

長時間立つ・座る

妊娠中期・後期になるとお腹が大きくなり、同じ姿勢を保つのが難しくなります。立ちっぱなしや座りっぱなしもお腹が張る原因です。横になる場合も、仰向けだとお腹や腰に負担がかかり、痛みを感じる可能性があるため、抱き枕を抱えるようにして横向きで寝ましょう。

また、長時間立ったり座ったりしていてお腹が張った場合には、休める場所を探して休憩しましょう。家事や仕事を行わなければならない場合は、家族や職場の同僚の協力を得て、負担を軽減していくことが大切です。

妊娠中にお腹が張った場合の対処法は?

お腹の張りを感じたら、基本的に安静にするしかありません。横になれる環境なら、すぐに横になりましょう。外出先などで横になれない場合でも、座っているだけで落ち着くケースが多いです。

ただし、お腹が張っているときに強い痛みをともなったり、息をするのが難しくなったりして、休憩しただけでは回復しない場合もあるでしょう。その際は、落ち着いて産婦人科に連絡し、指示を仰ぎましょう。

また、日頃からお腹が張りやすい方は、その原因を突き止め、適切な対策を行ってください。例えば、ガス溜まりによる腹部膨満感なら、妊婦でも可能な軽い運動や内服薬で改善するでしょう。

妊娠中のお腹の張り以外にこんな症状があったら要注意

妊娠中のお腹の張りは珍しくないものの、下記の症状に当てはまる場合は受診の必要性が出てきます。

  • 出血
  • 激痛
  • 治まらないお腹の張り

すべてに当てはまる場合や、程度によってはすぐ受診が必要になります。それぞれ、どの程度の症状だと危険なのか詳しくみていきましょう。

出血

妊娠超初期から妊娠初期に出血をともなうお腹の張りがある場合は、流産の可能性があります。特に、鮮血や薄いピンク色のおりものが見られた場合は要注意です。

流産ではなくてもポリープやびらんによる出血の可能性もあるため、不安になったら女院を受診しましょう。妊娠中期の場合は切迫早産・流産、妊娠37週以降はおしるしの可能性もあります。お腹の張りが強く、出血も続いている状態なら、一度エコー検査などで赤ちゃんの安否を確認してください。

激痛

お腹の張りの有無にかかわらず、妊娠中に腹部の激痛を感じたら危険だと考えましょう。特に、お腹の張りをともなう激痛が治まらない場合は、何らかのトラブルが起きている可能性があります。

安静にしても痛みが変わらない、もしくは痛みが増すような場合は早めの受診が必要です。切迫早産や流産も視野に入れて、できるだけ早く産婦人科に連絡をいれましょう。

治まらないお腹の張り

お腹の張りが頻繁に起こったり、時間が経っても治まらなかったりした場合は、早産の可能性もあります。しばらく安静にしても治らない場合は、病院を受診しましょう。

問題のない張りかどうか判断する目安は、張りの頻度です。妊娠29週以前なら1時間につき2回までの張り、妊娠30週以降なら1時間につき4回までの張りなら正常であると考えられます。また、安静にしていれば痛みが和らぎ、さらに胎動が感じられるならば、問題のない張りである可能性が高いでしょう。

まとめ

基本的には、お腹の張りについて相談しても医師から「出血や激痛がなければ安静にして治まるのを待つように」と指示されるケースが多いです。しかし、妊娠中はさまざまな症状がみられ、不安になることもあるでしょう。お腹の張りに関しても、問題のない張りなのか、受診が必要な張りなのか判断できず心配になるかもしれません。

そんなときは、ぜひ本記事を参考にしてください。また、ご自身で判断できない場合や、不安が続くような場合にはかかりつけ医に相談しましょう。

参考文献

・働く女性の心とからだの応援サイト-妊娠初期から産後まで 母体の変化と仕事への影響

・妊娠出産・母性健康管理サポート-妊娠中の身体の変化と対応ポイント