出生前診断のデメリットは?認定施設の条件なども詳しく解説!
出生前診断とは胎児の状態を調べる検査のことをいいます。
出生前診断にはさまざまな意見があるのも事実です。
人によって考えが異なるため、出生前診断を受けようか迷っている方は少なくありません。
今回は出生前診断のデメリットとメリットの両方を解説します。
新型出生前診断のNIPTの認定施設と非認定施設の違いについても紹介するので参考にしてみてください。
この記事の内容
出生前診断のデメリット
出生前診断はメリットばかりではありません。
少なからず問題点もいくつかあります。
ここでは出生前診断のデメリットについて解説します。
検査の結果によっては不安が増す
検査結果によって不安が増長する場合があります。
もちろん結果が陰性なら安心できるでしょう。
反対に陽性だった場合はどうでしょうか。
妊婦さんを含めて家族全員が大きな不安を抱えることになってしまいます。
陽性の場合は産むか産まないかの決断も迫られます。
産むとしても相応の準備や覚悟が必要です。
産まない選択肢を取った場合、悲しみや後悔は長く続くでしょう。
また、陰性でも100%安心とは限りません。
「偽陰性」といって、陽性なのに結果が陰性と表示される場合もあります。
つまり結果が陰性でも「本当に大丈夫?」「ほかの検査もするべきでは」と妊婦さんを悩ませることになるのです。
出生前診断は完璧ではない
出生前診断は安心・安全を保障するものではありません。
新型出生前診断のNIPTは非確定検査に該当します。
非確定検査とは先天性疾患の結果を確定するものではないので注意が必要です。
あくまでもリスクの可能性を調べているという点は頭に入れておきましょう。
ダウン症候群に関しては99%以上の精度があります。
陰性と判断されたらほぼ間違いではないものの、先述したように「偽陰性」の可能性も否定できません。
また、NIPTは胎児の先天性疾患を見つけることも不可能です。
疾患は出産後に現れる場合もありますので、その点についても理解を深めておきましょう。
費用が掛かる
出生前診断は無料で受けることはできません。
当然ながら検査費用が掛かってきます。
保険適用外なので費用は全額本人負担です。
NIPTの検査費用は20万円前後で医療費控除も対象外なので、確定申告に使うことすらできません。
そこからさらに羊水検査を受けようとするなら、さらに20万円程度が必要です。
高額な出費と引き換えに安心材料を買うかどうか、冷静な判断が問われます。
「命」について問題視されている
NIPTを含む出生前診断の大きな課題となっているのが「命の選択」です。
胎児の状態を調べるのが検査の目的ですが、なかには陽性と判断されて中絶に踏み切る妊婦さんもいます。
出生前診断の存在が、今を生きる障がい者へ不利益をもたらしているという意見もあります。
一方で、中絶を選ぶ妊婦さんの意思を100%否定できないのも事実です。
妊婦さんの意思を尊重するべきか、それとも社会的倫理観を重視すべきかのバランスについては厳しい議論が続いています。
出生前診断のメリット
なかには出生前診断を受けて良かった、受けるべきといったという賛成意見もあります。
ここでは出生前診断のメリットについて紹介するので、デメリットと併せて参考にしてみてください。
不安の解消につながる
妊婦さんは精神的に不安定になる時期でもあります。
お腹の赤ちゃんにもし障がいがあったら…そう考えると夜も眠れなかったり、食事が喉を通らなかったりすることも。
妊娠鬱やマタニティブルーに陥ってしまうと、胎児にも少なからず影響をおよぼしてしまいます。
そうなる前に出生前診断を受けておくのがおすすめです。
かえって不安が増長するなどのデメリットが懸念されますが、受けることで気持ちがスッキリするなら受けた方が良いでしょう。
出産前に備えておける
出産前に準備しておけるのもメリットの1つです。
産まれる前に知るのと、産まれてから知るのとでは大きな違いが生じます。
もし出産後に判明した場合、慌てて緊急搬送しなくてはならないケースもあります。
その点、出産前に赤ちゃんの状態を知っておけばある程度の準備が可能です。
障がいについて知識を身に付けるほか、前もってサポートしてくれる団体や施設に相談もできるでしょう。
十分な準備期間があれば「どんなことがあってもこの子を育てよう」と覚悟を決めることもできます。
母体へのリスクを軽減できる
NIPTにおいては母体のリスクを軽減できるのが大きなメリットです。
NIPTの検査方法は採血です。
お母さんの血液中に含まれる胎児の染色体のかけらを見て行います。
採血するだけで胎児の染色体異常の検査が可能というわけです。
お腹に針を刺したり、機械を当てたりすることはありません。
お腹への刺激がないため、胎児にも安全といえるでしょう。
検査精度が高い
NIPTの検査精度は99%以上と非常に高い信頼度を誇ります。
新型出生前診断を受けて陰性だと判断された場合は、ほぼ間違いないといえるでしょう。
とはいえ、偽陰性の可能性もゼロではありません。
ごく稀ですが陽性なのに陰性という結果が出ることがあります。
ただし、こういった事例はNIPTだけに限った話ではなく、どんな検査にもいえることです。
100%安心できる検査はなく、実際に赤ちゃんが産まれてきて初めて診断される障がいもあります。
NIPTの認定施設と非認定施設の違い
新型出生前診断を実施している施設は「認定施設」「非認定施設」に分かれるのが特徴です。
ここでは各施設の違いを解説します。
認定施設とは
「認定施設」は日本医学連合会から認定された施設のことを指します。
出生前診断に精通した臨床遺伝専門医が常駐しているのが特徴です。
ただし、認定施設で出生前診断を受ける場合、妊婦さん側にもいくつかの条件があります。
- 出産時の年齢が35歳以上の高齢出産
- 胎児超音波検査や母体血清マーカー検査で異常を指摘された場合
- 染色体数的異常の妊娠や出産経験がある
- 両親のいずれかが均衡型ロバートソン転座を有している
(胎児が13トリソミーもしくは21トリソミーになる可能性がある)
これらの条件を満たしていれば、認定施設で出生前診断を受けることができます。
非認定施設とは
「非認定施設」は日本医学連合会が認定しない施設のことを指します。
「非認定」と聞くと不安なイメージですが、違法というわけではありません。
年齢の制限もなく誰でも出生前診断を受けられます。
医師の紹介状も不要で、当日に来院してそのまま検査を受けることが可能です。
NIPTは受けたほうがいい?
実際のところ、NIPTは受けるべきなのでしょうか。
ここではNIPT賛成派と反対派の意見を紹介します。
NIPTを受けたほうがいいと考える理由
- 出産前に知っておくことで準備を整えることができる
- 早期発見が早期治療に繋がり、その後の発育や成長をサポートできる
- 結果的に中絶になっても親の意思を否定することはできない
妊婦さん本人や家族の安心材料に繋がるだけではなく、万が一異常が見つかっても備えておくことができるといった前向きな意見が目立ちました。
NIPTは受けないほうがいいと考える理由
- 異常が見つかった場合、中絶につながる恐れがある
- 胎児の人権が無視されてしまう
- 胎児の命が奪われる
「命の選択」に関する否定的な意見が目立ちました。
NIPTは中絶を勧める検査ではなく、胎児の状態を調べる検査だという目的を今一度把握しておく必要がありそうです。
まとめ
出生前診断で胎児の状態を知っておくことはメリットがある一方、もちろんデメリットも存在します。
出生前診断は強制ではないので、妊婦さん本人の意思を尊重し、家族とも話し合った上で受けるか決めるのが大切です。
出生前診断は命の選択をするものではありません。
妊婦さんの不安を完全に取り去るものでもありません。
検査には100%正しい道はないので、よく考えて後悔のない選択を行いましょう。
参考文献
・DNA先端医療-新型出生前診断のメリット・デメリットについて