不妊になる原因って何?妊娠しづらい方の特徴とは
皆さまの中には「不妊になる原因って何なの?」「妊娠しづらい人の特徴ってあるの?」といった疑問を持つ方もいるでしょう。
そこで、今回は、そんな疑問を持った方のために、不妊症の原因や妊娠できない人の特徴を解説いたします。女性は妊娠までタイムリミットがあり、焦ってしまうものです。不妊の改善方法も分かりやすくまとめておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の内容
不妊について
不妊とは何か、平均どれくらいで妊娠できるのか、妊娠しやすい年齢や時期を解説いたします。
不妊とは
「不妊とは、妊娠を望むカップルが避妊なしで性交しているにも関わらず、一定期間妊娠しないこと」と定義づけられています。
一定期間とは人それぞれではありますが、1年間妊活して妊娠しないのであれば、不妊といっても良いでしょう。
平均どれくらいで妊娠できるか
妊娠を望む健康的な男女が、タイミングを合わせて性行為した場合の自然妊娠する1周期の確率は、20〜25%と言われています。(1周期とは生理開始日から次の生理が開始する前日までのことを指します。)つまり、4〜5周期に1度の割合で妊娠するということです。
引き続き妊活を続けた場合、約半年で80%、1年で90%が妊娠するという研究結果が出ており、一般的には妊娠適齢期でも妊活を始めてから妊娠するまで約4〜5ヶ月かかります。
妊娠しやすい年齢
35歳以上の自然妊娠の確率は、20代の半分ほどに下がり、20〜35歳が妊娠しやすい年齢、
つまり妊娠適齢期だと言われています。
妊娠しやすい時期
妊娠を希望するのであれば、排卵日を気にかけましょう。妊娠するためには、排卵された卵子が24時間以内に受精する必要があります。精子は3日間生きるため、妊娠しやすい時期は排卵日の4日前〜1日後、中でも排卵日の2日前は特に妊娠しやすいと言われています。
とはいえ、排卵日を特定するのは簡単なことではありません。
排卵日の予測方法は、以下のとおりです。
- 基礎体温を測る
- オギノ式で計算する
- 排卵日予測検査薬を使用する
- おりものの変化を見る
基礎体温を測る
基礎体温とは朝目が覚めた際、体を起こす前に舌の裏側で5分間計測した体温です。
目覚めてから動かずに計測しなければならないため、寝る前に体温計を枕元に準備しておきましょう。
排卵が起こると低温期から高温期へと変化しますが、低温期の中で最も基礎体温が低い日が排卵日です。排卵が起こると、急に基礎体温が上昇しますが、その3日間の間に排卵が起こることが多いです。
オギノ式で計算する
オギノ式は、生理周期と生理予定日から排卵日を予測する計算方法です。
オギノ式による排卵時期と妊娠しやすい時期は、以下のとおりです。
- 排卵時期:生理予定日の12日~16日前
- 妊娠しやすい時期:生理予定日の12日~19日前
ただし、生理不順がある場合は、この方法で予測するのは難しいと言えます。
他にも方法がいくつかあるので別の方法で確認してみましょう。
排卵日予測検査薬を使用する
排卵日予測検査薬とは、黄体ホルモンの濃度により排卵日を予測する市販の検査薬です。
排卵日予測検査薬は、排卵が始まるだろうと思われる数日前から毎日使用します。黄体ホルモンの数値がピークになった時から、24〜36時間以内に排卵が起こります。
おりものの変化を見る
おりものは排卵日が近づくにつれて量が増え、排卵日の1〜2日前にピークを迎えます。
また、ゼリー状のとろみのあるおりものへと変化していきます。とろみのあるおりもので、量がいつもより多かったら、排卵日が近いと考えます。
不妊症の割合
令和2年における厚生労働省の「全出生児に占める生殖補助医療による出生児の割合」によると、過去や現在に不妊の検査や治療を受けている夫婦は22.7% です。つまり、不妊症に悩む夫婦は、全体の約4.4組に1組の割合ということになります。
妊娠しにくい女性の特徴
妊娠しにくい女性の特徴は、以下のとおりです。
- 生理不順の方
- 生理の量が多い
- 性感染症にかかったことがある
- 開腹手術をしたことがある
- 喫煙している
- 子宮筋腫・子宮内膜症を患っている
- 太り過ぎ/痩せすぎ
- 35歳以上
では、それぞれ詳しく解説いたします。
生理不順の方
生理の周期が長すぎたり、短すぎたりすると、排卵していない可能性があります。
生理周期は25〜38日が正常で、24日未満の方は生理周期が短く、39日以上の生理周期の方は生理周期が長すぎます。
生理周期の乱れが何か月も続く場合は、速やかに婦人科へ相談しましょう。
生理の量が極端に多い/少ない
生理の量が著しく多い場合、通常は三角形である子宮の内腔の形に異常が見られる子宮内腔異常である可能性があり、子宮内腔異常が起こると、不妊症・不育症になることがあります。
また、生理の量が著しく少ない場合、生理があるにも関わらず、排卵していない可能性や子宮腔癒着症の可能性があります。子宮腔癒着症は流産手術や子宮内の感染が原因で起こり、不妊症・不育症・無月経を引き起こす可能性があります。
性感染症にかかったことがある
淋菌、クラミジアのような性感染症にかかると、卵管に炎症を起こし、不妊症や子宮外妊娠の可能性を高めます。特にクラミジアは感染しても、症状に気づかないことが多く、気づくのが遅くなってしまう傾向にあります。放置しておくと、体の奥まで菌が拡大し、卵管閉塞を起こし、不妊症になるリスクが極めて高いです。
淋菌やクラミジアに感染していても妊娠することはありますが、絨毛膜羊膜炎にかかったり、早産・切迫流産を引き起こしたりするリスクが高く、妊娠を継続するのは難しいと言えます。
開腹手術をしたことがある
盲腸・帝王切開・子宮外妊娠・腹膜炎などで開腹手術をしている場合、子宮卵管癒着や卵管に詰まりが生じるといった後遺症が残ることがあります。
子宮卵管に癒着や詰まりがあると、不妊症になります。
喫煙している
喫煙は卵巣機能を低下させます。
また、ご自身が喫煙しているだけでなく、受動喫煙も同様の影響を受けます。
子宮筋腫・子宮内膜症を患っている
子宮筋腫とは、子宮内に良性の瘤ができることです。子宮筋腫は珍しいものではなく、3人に1人が持っていると言われており、自然妊娠もできますが、位置や大きさによっては不妊になる可能性もあります。
また、子宮内膜症は通常子宮の内側にある子宮内膜が内側以外に発生する病気です。
子宮内膜症を発症しても自然妊娠は可能ですが、10人に3〜5人は不妊になると言われています。
太り過ぎ/痩せすぎ
太り過ぎは、糖や代謝の異常から無排卵や排卵が起こらなくなる多嚢胞性卵巣症候群になりやすい傾向にあります。
また、痩せすぎは脳が栄養不足だと判断し、卵巣機能を停止してしまうことがあります。
妊娠を望む場合は、適正体重の維持を心がけましょう。
35歳以上
一般的に高齢妊娠と言われるようになる35歳以上は、卵子の質や量が低下することにより、自然妊娠率が急激に下がります。
不妊症を確かめる検査
不妊症であるかもしれないと思っても、ご自身では判断が難しい場合もあるでしょう。
そのような際は、以下のような不妊症を確かめる検査があります。
- 内分泌検査
- 子宮卵管造影法
- 精子検査
- 超音波検査
- フーナー検査
では、それぞれ詳しく解説いたします。
内分泌検査
内分泌検査は、以下のホルモンを検査することです。
- 黄体化ホルモン
- 卵胞刺激ホルモン
- 卵胞ホルモン
- 黄体ホルモン
検査方法は全て採血で行われ、生理周期ごとに適している検査と時期があります。目安とされる検査時期、検査で分かることについては、以下のとおりです。
ホルモン名 | 検査時期 | 分かること |
黄体化ホルモン・卵胞刺激ホルモン・卵胞ホルモン | 生理3日目 | 卵巣機能 |
黄体ホルモン | 排卵1週間後 | 着床・妊娠継続に必要なホルモンが分泌されているか |
子宮卵管造影法
子宮卵管造影法は、子宮に造影剤を注入して検査するため、少々痛みが伴いますが、検査時間は5〜6分ほどで終わります。検査をすることで、子宮の形・卵管の太さ・癒着の有無が分かります。
精子検査
精子検査は、2〜7日間禁欲してから行う必要があります。検査方法は、指定期間の禁欲後にマスターベーションで精液を容器に採って行いますが、男性が来院しても、自宅で採取し、妻が持参しても構いません。ただし、自宅で採取して持参する場合は、37度に保って運ぶことが理想とされています。
超音波検査
超音波検査は、排卵日をほとんど正確に予想でき、痛みも伴いません。
検査方法は、腟内に超音波を発生させるプロープを入れ、反響する信号を画像にし、リアルタイムで体内の様子を観察します。検査では、子宮筋腫の有無や場所・大きさ、子宮内膜の厚さ、子宮内膜症の有無が分かります。
フーナー試験
フーナー試験は、排卵期に通常の性交を行い、その翌日に子宮頚部から粘液を採取して行います。検査で分かることは、女性の頚管粘液と男性の精子の適合性です。
不妊の原因
不妊の原因は、以下が考えられます。
- 卵子の老化
- 卵管の異常
- 排卵障害
- 子宮の異常
- 子宮頸管粘液の異常
- 免疫の異常
- 男性不妊
では、それぞれ解説していきます。
卵子の老化
35歳以上は卵子の量や質が低下することで、妊娠力も衰えます。
特に40代の不妊の原因の多くは、卵子の老化だと言われています。
卵管の異常
卵管は精子が卵子に向かい、受精した卵が再び子宮に戻るための道です。そのため、卵管が詰まったり、癒着したりしていると、卵子と精子が出会わないため妊娠はできません。
排卵障害
排卵することで、女性ホルモンの分泌が変化し、子宮内膜が妊娠に向けて準備を開始します。そのため、排卵が行われなければ、もし生理が通常通り来ていたとしても妊娠はできません。
子宮の異常
子宮の異常は、子宮筋腫・子宮内膜症・子宮奇形などがあげられます。
これらの異常があると、子宮内に到達した胚が育たなかったり、子宮内膜への着床が妨げられたりするため、妊娠できません。
子宮頸管粘液の異常
排卵期に分泌される子宮頸管粘液が少ないと、精子が子宮に到達できないため妊娠できません。
免疫の異常
抗精子抗体を持つ場合、精子の運動を止め、受精を妨げるため、妊娠できません。
男性不妊
男性にも不妊の原因があり、女性が原因となる場合と男性が原因となる場合は、
ほぼ半々の割合だと言われています。男性不妊には、以下が考えられます。
- 造精機能障害
- 性機能障害
- 加齢
造精機能障害
造精機能障害は、精子の数が少ない、運動能力が低い、精子が作れないといった症状があります。
性機能障害
性機能障害とは、性行為ができないことによる不妊です。
妊活に対するプレッシャーや日常生活のストレスなど要因はさまざまです。
加齢
男性の場合、女性の卵子と違い、生涯精子が作られますが、機能は年齢とともに低下していきます。女性ほど顕著ではありませんが、男性も女性と同様に35歳ごろから少しずつ精子の質が低下していきます。
妊娠しにくい体質を改善する方法
妊娠しにくい体質を改善する方法についてご紹介いたします。
適度な運動
適度な運動をすることは、女性不妊だけでなく、男性不妊改善にも良いと言われています。女性の場合は、体を動かすことで血流が良くなり、ホルモンバランスも安定します。
男性の場合は、体の機能が向上し、勃起力や射精力が高まります。
頑張りすぎるのではなく、適度な運動を長く続けていくことを意識しましょう。
健康的な食事
体は毎日の食事の積み重ねで作られています。
バランスの良い食事を摂ることで、赤ちゃんを迎える準備ができます。
また、葉酸は女性が妊活中に積極的に摂取したい栄養素というイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、実は男性にとっても重要な栄養素です。
葉酸の摂取により、精子内のDNAが傷つくのを防止してくれます。
ホウレン草などの緑黄色野菜で摂取することが可能ですが、一日の摂取量が足りない場合はサプリなどで摂取するようにしましょう。
カフェイン摂取を控える
カフェインの過剰摂取は、妊娠を妨げる可能性があります。
カフェインが体に及ぼす影響には個人差がありますが、一般的にはコーヒーや紅茶は1日3杯までに抑えるのが好ましいです。
冷え性の改善
冷え性は血流を悪くするため、妊娠しづらくなります。
毎日湯船に浸かり、水分の飲み過ぎや冷たい食べ物の摂取は控えましょう。
禁酒・禁煙
飲酒が不妊につながるわけではありませんが、過剰摂取は生理不順や排卵障害を引き起こすといわれています。時折嗜む程度なら問題ありませんが、頻繁に飲んだり、飲む量が多かったりする方は気をつけましょう。
また、喫煙をすることで、女性は卵巣機能が低下し、男性は精子の数が少なくなったり、
勃起不全の可能性が高まったりします。喫煙は百害あって一利なしというように、体にいいことはひとつもありません。妊娠を考えている場合は、禁煙しましょう。
まとめ
日本では夫婦の4.4組に1組が悩んでいると言われる不妊症。
不妊は、卵子の老化・卵管の異常・排卵障害・子宮の異常・子宮頸管粘液の異常・免疫の異常・男性不妊など様々な原因が考えられます。1年間、妊娠を望んで性行為をしても赤ちゃんを授からない場合、不妊症の可能性があります。不妊症かもしれないと思ったら、病院で早めに検査することがおすすめです。
また、妊娠を望む場合は、日頃から適度な運動・健康的な食事・冷え性の改善・禁酒・禁煙を心がけましょう。
参考文献
・メディカルノート – 不妊症
・日本産科婦人科医会 – 5.不妊の原因と検査