妊娠超初期に下痢が起こる原因と対処法。注意したい下痢症状とは?
妊娠超初期症状の一つである下痢は、身体的にも辛く下痢が続いても大丈夫なのか心配になってしまいます。
妊娠を望んでいる方にとってはソワソワする時期でもありますが、同時に病的な見極めも大切です。
この記事では、妊娠初期に現れる下痢の原因や対処法、注意が必要な症状まで詳しく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の内容
妊娠超初期症状とは?
妊娠初期には、妊娠超初期と呼ばれる期間があります。
妊娠超初期と妊娠初期の違いを説明しながら、妊娠超初期に出現しやすい症状についてご紹介します。
妊娠超初期と妊娠初期の違い
妊娠超初期は、妊娠が発覚する前の妊娠0週〜3週のことをさします。
医学的な用語はありませんが、妊娠しているか分からない時期のことを妊娠超初期と呼ぶことがあります。
妊娠週数の数え方にはいくつか方法がありますが、生理周期が28日型の方だと、生理が始まった日を妊娠0週0日としていますが、この時期はまだ妊娠していません。
大体、精子と卵子が受精し着床に至る時期が妊娠2〜3週のため、早い方だとその時期から症状を感じることもあるでしょう。
妊娠4週になると、赤ちゃんを包む袋がエコーで確認でき、妊娠検査薬も使用できる時期です。妊娠しているか確認できる妊娠4週から15週までを妊娠初期と呼びます。
妊娠超初期に現れる症状とは?
妊娠が分かる4週以降に症状を感じる方が多く、全員が妊娠超初期症状を感じるわけではありません。妊娠を心待ちにしていると、妊娠超初期の体調の変化は気になるものです。
具体的な症状は以下の通りです。
- おりものの性状や量の変化
- 生理予定日近辺に少量の出血がある
- 体がだるく、熱っぽい感じがする、風邪を引きやすい
- 便秘や下痢になる
- 今までに感じたことがない強い眠気を感じる
- 頭痛や腰痛、下腹部痛がある
- お腹や胸が張る
- 胃のムカつきや吐き気、嘔吐がある
- 臭いに敏感になる
- 尿意を感じる頻度が高まる
- めまいや立ちくらみがある
上記以外にも症状はあります。症状を感じる方もいれば、全く感じなかった方もおり、症状には個人差があるため、症状がないからといって落ち込む必要はありません。
妊娠超初期に下痢が引き起こされる理由
妊娠超初期症状には、上記であげたようにいくつもの症状がありますが、腹痛を伴う下痢で悩む方もいるのではないでしょうか。
なぜ下痢になってしまうのか、原因を解説します。
ホルモンが関係している
排卵すると体温が高くなりますが、この時期を黄体期といいます。黄体期にはプロゲステロンという黄体ホルモンが分泌され、このホルモンには受精卵を着床しやすくしたり、妊娠を維持させるような働きがあります。
しかし、プロゲステロンには、上記の働きだけでなく、マイナスの働きもあるのです。
生理前になると便秘や下痢などお腹の調子が悪くなるといった症状が現れる方もいるでしょう。プロゲステロンには、腸の動きを鈍くするという作用があります。
妊娠超初期に下痢になるのは、プロゲステロンが分泌されていることが原因なのです。
下痢は腹痛を伴うことも多いため、流産してしまうのではと心配になるかもしれませんが、ホルモンの影響と思っておくと良いでしょう。
一時的な下痢が直接、流産に関係する可能性は低いので安心してください。
冷たい飲み物の多量摂取
下痢の症状があるということは、腸の動きが鈍くなっているということです。冷たい食べ物や飲み物をたくさん体内に取り入れると、お腹の血流が悪くなったり、冷たい刺激で腸の動きを活発にし、下痢を引き起こしてしまいます。
夏場など、冷たいものを摂取する機会が増えると思いますが、ホルモンの影響と相互作用し、下痢になりやすくなるため注意が必要です。
ストレス
妊娠超初期には何らかの症状が現れたり、ホルモンバランスが乱れることで、よりストレスを感じやすくなります。
腸などの消化器官は自律神経によりコントロールされていますが、自律神経はストレスにより乱れることがあります。自律神経が乱れることで、腹痛や下痢に繋がる症状が出現してしまうのです。
貧血予防の鉄剤
妊娠すると、赤ちゃんへ血液を送らなければいけなくなるため、体内の血液量が妊娠前の約1.4倍まで増える仕組みとなっています。
血液は鉄分を含む血液(赤血球)と血液中の水分(血漿)に分けられますが、赤血球より血漿の方が増えます。その結果、赤血球量は十分あるにも関わらず、水分の方が増えることにより、貧血になりやすくなってしまうのです。
貧血が進んでしまうと、鉄剤を処方されることが多いです。鉄剤には胃腸を刺激する働きがあり、腹痛や下痢などの副作用があります。鉄剤の内服も、下痢を引き起こす原因と考えられます。
下痢の対処法とは?
気持ち的にも辛い下痢症状。下痢の対処法はどういったものがあるのでしょうか。
体を温める
体が冷えると、胃腸の血流が悪くなり、食べ物が消化されにくくなることで、下痢を引き起こしやすくなります。そのため、体を冷やさないようにしましょう。
特に夏場の暑い時期は、クーラーで体が冷え気味です。直接風が当たる場所にいない、体を温めるなど、対策を行うことが大切です。
消化に良いものを食べる
胃腸が弱っている際に下痢が起こりやすいです。刺激が強いものは、さらに胃腸へ負担をかけてしまい症状が悪化してしまうリスクがあるため、消化に良いものを食べるようにしましょう。
刺激が強い食べ物として、こんにゃくや海藻、きのこなどの食物繊維、脂質が多い食事、コーヒー、炭酸などの飲み物があげられます。
下痢の際は、おかゆや温かいうどん、焼き魚など、繊維や脂質が少ないものがおすすめです。
冷たい食べ物はなるべく避ける
アイスや冷たい飲み物は体が冷え、胃腸の動きを鈍くする要因です。
つわりなどで、それしか食べられないという場合は食べすぎないよう注意しましょう。
一時的に冷たいものが欲しい場合、冷たいものを摂取するとさらに冷たいものを欲してしまいます。水やお茶は常温や温かくして摂取すると飲みすぎを防止できます。
また、下痢の時は脱水症状を防止するために、常温のスポーツドリンクを飲むこともおすすめです。
ストレスを溜め込まない
腸には脳と同じ神経が多く存在します。
ストレスを感じると自律神経を通して脳から腸に伝達され、自律神経の乱れにより下痢症状が現れます。
そのため、ストレスを解消することが大切です。
生活をする上で、ストレスを避けることは難しいですが、睡眠や食生活など、日常生活を振り返ってみてはいかがでしょうか。
また、散歩やアロマなど、リラックスできる方法を試してみることもおすすめです。
注意が必要な下痢の症状とは?
妊娠症状により一時的に引き起こされている下痢は心配ないのですが、下痢が続いている場合や、病的な下痢は注意が必要です。
病院に受診した方が良いタイミングはあるのでしょうか。
脱水
下痢は体中の水分も一緒に体外へ出してしまい、つわりなどで水分が摂取できなくなると体内の水分量が不足してしまいます。
重度の脱水になると、意識障害や失神を引き起こす可能性があり、非常に危険です。
1日に何回も下痢を起こしたり、水分が摂れない場合は、妊娠している可能性を伝えた上で受診することをおすすめします。
貧血
下痢に伴い、冷や汗がでる、爪が白くなる、顔面蒼白などといった症状がある場合は貧血にも注意が必要です。
また、貧血により自律神経が乱れることで下痢が引き起こされている可能性もあります。
軽度の貧血では自覚症状がほとんどないですが、悪化すると早産や赤ちゃんの発育が遅れたり、さまざまなリスクがあります。
動悸や息切れ、めまいなど症状がある場合は受診をおすすめします。
血が混じっている
下痢に出血が混じっている場合は、何らかの異常のサインなので、すぐ病院に受診するようにしましょう。
肛門が切れた際に生じる出血と問題がない場合もありますが、大腸がんや潰瘍性大腸炎などの病気の可能性もあるため、病院で検査することをおすすめします。
嘔吐
下痢に伴い、嘔吐がある場合はつわりによるものもありますが、感染性胃腸炎により引き起こされている場合もあります。
水や食品を通して感染するルートが多いですが、既に感染している方からうつる接触感染も多くあります。下痢に伴い、嘔吐があると脱水のリスクも高まるため注意が必要です。
下痢、腹痛、嘔吐、発熱といった症状がある場合は、早めに病院を受診した方が良いでしょう。
妊娠すると免疫機能が弱まり、感染しやすくなるため、手洗い・うがいなど感染対策をする必要があります。
「妊娠しているかも」と思ったら注意すべき行動
妊娠しているか分からない時期に、下痢症状が出現した際に、どんなことに注意したら良いのでしょうか。
市販薬は避ける
薬を飲んで早く下痢症状を軽減したいという気持ちは分かりますが、妊娠している可能性がある時期は市販薬を飲むことは注意が必要です。
妊娠超初期は赤ちゃんの器官が形成される前のため、薬が奇形など赤ちゃんに与える影響は少ないと考えられます。
しかし、薬によっては体内に長い間残ってしまう成分が含まれているため、注意が必要です。
薬を飲みたい時は、医師や薬剤師に妊娠している可能性があることを伝え、妊娠していても内服可能な薬を処方してもらうようにしましょう。
生モノを避ける
妊娠すると妊娠する前より免疫が弱まり、食中毒に感染しやすくなるため、生モノの摂取は控えることをおすすめします。感染すると、早産や赤ちゃんに感染してしまう種類の食中毒もあるため、妊娠の可能性がある時期から注意する必要があります。
できるだけ、肉や魚はよく火を通したものを食べるようにしましょう。
まとめ
下痢は妊娠超初期に出現する症状のひとつで、腹痛も伴いやすいため対処法を身につけ、症状を和らげることが大切です。
下痢症状を軽減するために、妊娠しているか分からないからといって自分の判断で市販薬を飲むのは避けましょう。稀に、病的に下痢を引き起こしている可能性があるので、心配な方は早めに病院へ受診し、適切な処置を受けるようにしてください。
参考文献
・母子健康手帳 – 妊娠期に多いQ&A
・日本産婦人科・新生児血液学会 – 妊婦貧血とは
・食品安全委員会 – お母さんになるあなたと周りの人たちへ