妊娠中期のつわりのぶり返しが起こる原因と対策について解説
多くの妊婦さんはつわりが落ち着いてくる中で、妊娠中期につわりがぶり返し体調不良になる方もいます。
症状の内容は個人差がありますが、妊娠初期のころのように寝たきりや食欲不振に悩む方もいるでしょう。
妊娠中は体調が変わりやすく、安定期に入っても引き続き体調管理には十分気をつけなけばいけません。
なぜ妊娠中期でつわりがぶり返すのか、その原因と対策を解説します。
この記事の内容
妊娠中期から起こるつわりのぶり返し症状とは
本来妊娠16週頃までにつわりの症状は落ち着き始め、食欲が戻ったりだるさも軽減したりして、日常生活が過ごしやすくなる時期です。
しかし、せっかくつわりが落ち着いたのに再びぶり返すのは辛いでしょう。
こちらでは、妊娠中期にぶり返す主な症状を解説します。
吐き気
妊娠初期の吐き気は体内のホルモンバランスの関係ですが、妊娠中期の吐き気は胎児が関係しています。
この時期はお母さんから栄養を貰い、どんどん体が発達していく時期です。
しかし、胎児が平均よりも大きい場合は胃を圧迫し吐き気を催します。
さらにプロゲステロンというホルモンの働きによって、食道括約筋という筋肉がゆるみます。
これにより胃酸が逆流するため、食道炎になる可能性が高まるでしょう。
食後すぐに横になると逆流性食道炎になりやすくなるので、注意しましょう。
臭いに敏感になる
妊娠中はhCGや黄体ホルモンの分泌により、これまで気にならなかった臭いが気になるようになります。
歯磨き粉の臭いや柔軟剤、毎日使っている化粧品の臭いでも吐き気を催します。
また妊娠中はさまざまなことが制限されるため、ストレスを感じやすく自律神経のバランスも乱れやすいです。
とくに妊娠中期になると、お腹がどんどん大きくなるため動きづらさを感じるでしょう。
さらに妊娠中は代謝を促すビタミンB6が不足しやすくなります。
これらの条件が重なることで、臭いづわりが引きおこるでしょう。
眠気がする
妊娠中期に眠気が起こるのは、胎児の成長が考えられます。
初期のころより胎児もどんどん大きくなるため、それに合わせて妊婦さんのお腹も大きくなります。
妊婦さん自身の体重も増える中で、体力も消耗しやすく胎児に優先的に血流がいくため母体の血流が悪くなり疲労が蓄積しやすいです。
また、体内ではプロゲステロンというホルモンが分泌されています。
このプロゲステロンの働きは、妊娠継続には欠かせません。
プロゲステロンの働きにより、眠気を感じる方もいます。
つわりのぶり返しはなぜ起きるの?
妊娠16週を迎えると胎盤が完成するため、少しずつつわり症状が収まる方もいるでしょう。
しかし、収まったと思ったつわりが妊娠中期から後期にかけてぶり返す方もいます。
つわりがぶり返してしまうのは、心身ともに辛い状況です。
なぜ、収まったと思ったつわりが再びぶり返すのか、その原因を解説します。
つわりのぶり返しの原因
つわりがぶり返す原因は3つあります。
1つ目は胎児の成長で、子宮の中で大きくなった胎児が周辺の臓器を圧迫し吐き気を感じます。
双子を妊娠中の方や胎児が大きい方ほど、周辺の臓器を圧迫されやすくなるでしょう。
2つ目はホルモンバランスの乱れです。
プロゲステロンの働きによって体温調節機能が乱れ、寝つきが悪くなることがあります。
3つ目は精神的なストレスです。
妊娠中は心身ともにストレスがかかります。
徐々に大きくなるお腹に戸惑ったり、出産が近くなれば不安に感じたりストレスを感じやすい時期です。
ストレスが大きい妊婦さんほど、つわり症状がつらくなる可能性もあるので、注意をしましょう。
つわりのぶり返しはいつまで続く?
つわりのぶり返しは、症状と同じく個人差があります。
妊娠初期はつわりが軽かったが、妊娠中期はつわりが重かったという方や、妊娠から出産までつわりをぶり返したケースもあるでしょう。
したがって、つわりのぶり返しがいつまでかという明確な目安がありません。
つわりが辛い時は無理をせず、身体を休めるようにしましょう。
妊娠中期からつわりを改善する薬は?
つわりの症状が重く、日常生活を送ることも難しい方は医師に相談して薬を処方して貰いましょう。
妊娠中は飲める薬が限られていますが、医師に相談すれば胎児に影響のない薬を処方してもらえます。
小半夏化茯苓湯
小半夏化茯苓湯は体力がある無いに関わらず、悪心・つわり・吐き気がある際に使用できる漢方薬です。
つわりの時に処方される、代表的な漢方薬で体内の水分代謝の調整も行います。
ドパミン拮抗薬
吐き気や悪心がひどい場合は、ドパミン拮抗薬が処方されます。
ドーパミン受容体と結合することで、ドーパミンの働きを抑えられるでしょう。
プリンペラン
吐き気や嘔吐で日常生活を送るのが困難な方には、プリンペランが処方されます。
欧米では安全性が認められ、多くの妊婦さんに処方されます。
日本でも吐き気や嘔吐が辛い妊婦さんに処方されている薬です。
妊娠中期からつわりが原因ではない体調不調とは?
妊娠中に吐き気があると、つわりと勘違いしがちですが、吐き気や嘔吐の原因が必ずしもつわりが原因とは限りません。
こちらでは、つわり以外で考えられる不調について解説します。
妊娠高血圧症候群
妊娠高血圧症候群とは妊娠中毒症の1つです。
通常なら妊娠中はお腹の赤ちゃんへ優先的に血液が回るよう血管を拡張させますが、それが上手くいかなくなることがあります。
血管が拡張されないと、母体の血圧が上昇するほか、タンパク尿やけいれん、脳出血などさまざまな症状を引き起こすでしょう。
悪化すると胎児の体調が悪くなり、場合によっては胎児死亡を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。
心理的な不調
体調が悪く、検査をしても不調が見つからない場合は心理的な不調が原因の可能性があります。
心因的な不調には大きく分けて身体的ストレスと精神的ストレスの2つに別れます。
身体的ストレスとは、だるさや浮腫み・体調が悪くてなかなか寝付けないなどの悩みが身体的ストレスです。
体調が悪くて入院することも身体的ストレスに入り、妊娠によって起こったさまざまなストレスが身体的症状として現れます。
精神的ストレスは、自分自身の妊娠出産だけではなく、周囲のサポートや出産後の生活などが原因です。
出産後の生活が不安だったりパートナーからの協力が得られなかったり、核家族の場合は周辺に助けてくれる方がいない状況は大きなストレスになります。
妊娠中期からつわり以外で起こりやすい症状とは?
妊娠中期はつわり以外でも、さまざまな体調不良が起こりやすくなります。
こちらでは、つわり以外で起こりやすい症状について解説します。
これらの症状があった場合は安静にするか、病院へ相談するようにしましょう。
腰痛
妊娠中期は大きなお腹で反り腰になりやすく、腰痛を訴える妊婦さんが多くなります。
腰痛対策として腰を支える骨盤ベルトを装着したりストレッチや運動をしてみたり、日常生活の中で腰痛対策を取り入れましょう。
お腹の張りや痛み
妊娠中期になると、赤ちゃんが大きくなり子宮がつっぱるのでお腹の痛みや張りが起こりやすくなります。
少し横になって痛みや張りが落ち着けば問題ありませんが、休んでも治らない場合は切迫早産の可能性もあるので、病院を受診しましょう。
出血
腹痛と一緒に出血があった場合、切迫早産や前置胎盤、常位胎盤早期剝離の可能性があります。
出血が続く場合や大量に出血があった場合はすぐに病院を受診しましょう。
妊娠中期からのつわりの対処法とは?
妊娠中期からつわりがぶり返した場合、どんな対処法をとればいいのか分からない方もいるでしょう。
こちらでは、妊娠中期からぶり返したつわりの対処法について解説します。
1回の食事を小分けにしてみる
妊娠中期は大きくなった子宮と胎児の動きにより胃を圧迫され、胃の不快感を感じる方が多いです。
そのため、妊娠前のように1度の食事でたくさん食べることは難しいでしょう。
対策方法として、1回の食事を小分けにして食べてみましょう。
食事回数も1日3食と決めず、4〜6回に分けると1日に必要な栄養をしっかり補えます。
また、食事内容にも注意を向けましょう。
胃を圧迫された状態で脂っこいものや硬いものを食べると消化に時間がかかってしまい、余計に不快感が強くなるので避けることをお勧めします。
お腹を冷やさないようにする
お腹が冷えると全身の血流が悪くなり、体調不良の原因になります。
カフェインレスの温かい飲み物やスープを飲んだり、腹巻をしてお腹を温めたりして冷やさないようにしましょう。
シムスの体位で寝てみる
シムスの体位とは、左側を下にして楽になるポーズです。
胃を圧迫して眠りにくい時や、疲れて休みたい時におすすめです。
高めの枕を使うことで、胃酸の逆流も防げるでしょう。
まとめ
妊娠中期はホルモンバランスの影響や、胎児が大きくなるため体調の変化が起こりやすい時期です。
吐き気が辛い時は食事量を調整したり、疲れた時は休んだり無理をせず過ごしましょう。
病院に相談すれば、吐き気止めを処方してもらえるので、吐き気や嘔吐で日常生活を送れない場合は相談してください。
自律神経の乱れから体調不良にもなりやすくなるため、なるべくストレスを抱えないこともポイントです。
休んでもなかなか体調が回復しない、出血や腹痛がある場合は迷わず病院を受診しましょう。