子宮外妊娠がエコーで分かるのはいつ?確定診断までの注意点
妊娠初期など、エコーで検査をしても胎嚢がはっきり見えず子宮外妊娠の疑いと診断されることがあります。その場合、確定診断の時期はいつなのか、不安に思う方も多くいらっしゃるでしょう。ここでは、子宮外妊娠がエコーで分かるタイミングや、それまでに用心すべきポイントについてご紹介します。
この記事の内容
子宮外妊娠の診断が確定するのはいつ?
子宮外妊娠の診断は、妊娠が分かってすぐの段階でははっきりとせず、タイミングによっては「次の受診日にもう一度検査をしましょう」と言われることもあります。
では、はっきりとした診断ができるのはいつ頃からでしょうか。子宮外妊娠かどうかが分かるタイミングについて見てみましょう。
そもそも子宮外妊娠とは
医学的な言葉では、子宮外妊娠は異所性妊娠(いしょせいにんしん)に含まれます。受精卵は、ふつう子宮内膜に辿り着いて着床し、生育していきます。しかし、異所性妊娠の場合は子宮内膜ではない場所に着床することを指します。
異所性妊娠のうち、最も多いのが、子宮以外の場所に着床する子宮外妊娠です。大半は卵管に着床する卵管妊娠となっており、これは妊娠検査薬では分かりません。
子宮外妊娠は、受精卵が順調に卵管を移動できず子宮に辿り着けないことで起こることが多いです。卵管をスムーズに移動できない理由には、卵管の癒着や狭窄、炎症などで通りが悪くなっていることが考えられます。
子宮外妊娠の疑いから確定に至るまでの流れ
妊娠検査にはいくつかの検査がありますが、子宮外妊娠かどうかの判断は妊娠初期では難しいのが現状です。なぜなら、判断基準となる胎嚢が、妊娠初期では見えないことも珍しくないからです。
個人差はありますが、おおよそ妊娠4週目になると子宮の中に胎嚢が確認できるようになります。胎嚢は、黒色の袋のようなもので、これが子宮内に見られなければ子宮外妊娠の可能性が高いということです。
妊娠が分かったら早めに受診を
「どうせ妊娠初期では子宮外妊娠かどうか分からない」と、敢えて受診を遅らせるのはおすすめできません。妊娠が分かったら、できるだけ早めに受診をした方が安心です。
なぜなら、もし子宮外妊娠をしていた場合、急に強い腹痛が見られたり腹腔内の出血等によって命に関わる事態を招くこともあるからです。たとえ、妊娠初期で子宮外妊娠かどうかの判断ができなくても、早めに受診をしておくことで適切なタイミングでの再検査やアドバイスをもらうことができます。
子宮外妊娠の予防は難しい
子宮外妊娠は、予防しようと努力してどうにかなるものではありません。リスクを高める要因のいくつかは努力や注意によって防げるものもありますが、自分でコントロールできるものではないということです。
子宮外妊娠につながる要因
子宮外妊娠のリスクを高める要因として、主に以下のものが関係すると考えられています。
・クラミジア感染症等の性感染症
・子宮内膜症
・卵管周囲の癒着、卵管の閉鎖
・子宮外妊娠の既往
・帝王切開の経験
・体外受精
・胚移植
・骨盤腹膜炎
・卵管形成手術
・高齢出産
・子宮内避妊具の使用
・前回の妊娠からの間隔の長さ
以上からも分かるように、子宮外妊娠は完全に予防することが困難です。
子宮外妊娠になる割合
子宮外妊娠になる割合は、およそ0.5%~1.5%程度と言われています。この確率だけ聞けば、そう多くないと感じるかもしれません。しかし、先程ご紹介したような、子宮外妊娠のリスクを高める要因に該当する方については、より可能性が高くなることを意識しておいた方が良いでしょう。
例えば、20代や30代の女性よりも、40代以上の女性の方が子宮外妊娠のリスクは高くなり、10代と比較すると3倍以上にもなります。また、以前に子宮外妊娠を経験した方においては、およそ10%の割合で再発するとも言われており、注意が必要です。体外受精や子宮内避妊具を使用した上での妊娠は、発生率を高めることも分かっています。
指摘されるまで気づかない場合も
子宮外妊娠は、決して軽視できない状態です。なぜなら、大半を占める卵管妊娠では、妊娠7週目にもなると胎嚢が大きくなり卵管が破裂し、急激な腹痛や意識障害、低血圧、急性貧血などによるショック症状で命が危険にさらされることも少なくないからです。
しかし、多くの妊婦さんは、子宮外妊娠について自覚のないまま過ごし、病院で指摘されてはじめて気づきます。これは、子宮外妊娠の初期では、無症状で経過することが多いためです。
さらに、子宮外妊娠でも、体は正常妊娠と同じように体が反応するため、つわりが見られることも多々あります。このように、正常妊娠と同じような症状が見られるだけに、気がつきにくくなっていると考えられます。
子宮外妊娠の症状は?急な状態の変化はある?
子宮外妊娠は、ある日突然、状態が変わることがあるとお伝えしました。もう少し具体的に見てみましょう。
無症状でも突然の状態の変化に注意
初期の段階では無症状で経過する傾向にあり、急に状態が悪化してしまうことが多いのも特徴で、病院で指摘されるまで気がつかない方がほとんどです。
こうした特徴から、妊娠したら速やかに受診をして、子宮外妊娠の可能性について調べてもらう必要があります。妊娠初期では明らかにならないことも多いですが、リスクがあることを意識しておくと万が一に備えやすくなるでしょう。
少しでも気になることがあったら、自分で判断しないことが重要です。出血や痛み、つわりなどは子宮外妊娠以外でも起こり得るものですが、勝手に判断せずに医師に相談しましょう。
緊急時に備えて準備をしておく
子宮外妊娠の進行によって突然重篤な状態に陥ると、ショック死などもあり得ます。実際、日本国内でも死亡事例はあり、注意が必要です。万が一に備えて、何かあった時にすぐに救急車が手配できるよう携帯電話を身に付けておくなど、日頃から準備をしておきましょう。
妊娠中のエコー検査はどうやって行われるの?
妊娠中の検査と聞いて、多くの方がイメージするのはエコー検査ではないでしょうか。どのような方法で行われるのか把握しておきましょう。
エコー検査は母体と赤ちゃんの健康を確かめるために重要
妊娠中のエコー検査は、赤ちゃんとお母さんの健康を確かめるために行われる検査です。羊水に包まれている赤ちゃんの姿を、まるで魚群探知機のように探ることができ、成長の様子が分かります。
エコー検査、すなわち超音波検査は、安全な検査としても知られており、レントゲンのX線のような副作用もありません。
時期によって検査の仕方が異なる
妊娠12週頃までは、経膣法といって、超音波発信装置を膣の中に入れて検査をします。妊娠が分かり、初めてのエコー検査ではこの方法が用いられるでしょう。この方法のメリットは、赤ちゃんに近い位置で精密に観察できることです。
妊娠中期になると、お腹にゼリーを塗ってプローブをあてて観察する、経腹法にシフトします。ただお腹の上を滑らせるようにあてるだけなので、痛みは全くありません。
まとめ
子宮外妊娠は、突然状態が変化する可能性があるため、まだはっきりと分からない段階で「疑いあり」と告げられることも珍しくありません。それは妊婦さんにとっては不安を増大させてしまう出来事ですが、近いうちに再受診で明確な診断がもらえます。それまでは用心をして過ごしましょう。