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妊娠中期に逆子と診断されたらどうする?

(逆子は医療用語で骨盤位ですが、この記事では皆さんが聞き慣れている逆子と表記します)

妊婦健診受診時に「今逆子だね」と言われた妊婦さんのなかには、「とりあえず様子を見ましょう」などと医師に言われ、不安に思われる方もいらっしゃると思います。

この記事では、逆子と言われた場合の対処法や出産方法など皆さんの疑問を一緒に解決していきます。

妊娠中期の妊婦さんと胎児の様子について

妊娠中期とは、妊娠14週〜27週の期間を指し、安定期とも呼ばれます。

週数がある程度進み、流産の可能性が減り、つわりも軽減することから、比較的過ごしやすいと言われています。

逆子と診断されるのはいつ?

正式に診断がつくのは、妊娠30週頃です。

これ以前の週数の健診で医師から「逆子」と言われる方もいるでしょう。

しかし、出産までに頭位に戻る方がほとんどのため、診断がつくのは後期に入ってからです。

赤ちゃんはお腹の中でどう過ごしているか、逆子の種類

では、胎児はお腹の中でどういう状態でいるのでしょうか。

一言で逆子と言っても、胎児の状態にもいくつか種類があります。

大きなくくりで考えると、お腹の中で胎児の頭が下向き以外になっている状態を言います。代表的なものには、あぐらのように座っている形の子宮口付近にお尻がある「臀位」、膝立ちのような姿勢で膝が子宮口のあたりにある「膝位」、立っているような姿勢で足が子宮口のあたりにある「足位」、胎児の頭が真横を向いた「横位」です。

妊娠初期の逆子

初期(〜妊娠15週まで)は胎児は小さく、子宮の中で常に体勢を変えて過ごしています。

この時期は逆子となる場合も多くありますが、一時的なものが多いです。

妊娠中期の逆子

妊娠中期(妊娠14〜27週)も妊娠初期と同様、胎児は子宮の中で体勢を変えて過ごしています。

そのため、この時期も逆子となる場合も多くあります。

妊娠後期の逆子

後期(妊娠28週〜)以降は逆子と診断がつくことが多いです。

ただし、出産の直前までに治ることが多く、実際に出産まで逆子である確率は、全体の3〜5%と言われています。

妊娠後期までに戻らない場合は、治療を行うこともできます。

医師へ相談をし、妊婦さんが必要性を感じれば治療を行うことを検討しましょう。

逆子の胎動の感じ方は違うの?

逆子の場合、胎動を感じる場所が頭位と異なることがあります。

胎児の手足が下に向いているため、下腹部、足の付け根付近で胎動を感じることが多いです。

中には、膀胱を蹴られて尿意を感じやすくなるかもしれません。

ただ、胎児の体勢と胎動の感じ方に明確な関連があるわけではないので、胎動だけでは胎児の体勢は判断できないと言われています。

逆子の原因

逆子の原因はほとんどの場合、原因不明とされています。

一つだけではなく複数の要素が絡み合って逆子となっている可能性もあります。

今回はその例を一部ご紹介します。

子宮の異常

子宮の形が一般的なものでなく、いわゆる子宮奇形と言われる形であり、妊娠により子宮の形が変わっている場合に胎児の動きが制限されることがあります。

また、良性腫瘍である子宮筋腫の位置によっても胎児の動きを妨げることがあり、逆子の原因となることもあります。

胎盤の異常

胎盤の位置が子宮の口付近にある場合にも逆子になりやすいと言われています。

双胎

双子または三つ子以上の多胎妊娠の場合、物理的に胎児の動けるスペースが少ないため、逆子のまま動けないことがあります。

羊水過多・羊水過少

羊水の量が多いと、胎児の位置が固定されづらく、くるくると動いています。

また、羊水の量が少ない場合も、胎児が逆に動き回れないため逆子のまま変わらないこともあります。

胎児の要因/h3>

胎児に水頭症、無脳症など異常がある場合、逆子となる可能性があります。

これら全てに当てはまらなくても逆子の場合もありますし、いずれかに当てはまっていても頭位の場合もあるため、原因についてはあまり明確にならないことが多いです。

逆子の出産

では、仮に出産まで逆子であった場合は、どのような出産になるのでしょうか。

帝王切開

まず第一選択として、帝王切開分娩となることが多いです。

理由は、経膣分娩は難産になりやすく、母子ともにリスクが高いため、ほとんどの施設では逆子である場合は帝王切開となります。

経膣分娩

逆子での経膣分娩では、

  • へその緒が胎児より先に出てしまう
  • 通常の分娩より早く破水する
  • 赤ちゃんが骨折する
  • 陣痛が弱くなる

などのリスクが高まります。

赤ちゃんの姿勢によって、経膣分娩を選択できる病院もあります。

逆子を治す方法

治す方法は、主に3つが挙げられます。

外回転術(科学的根拠あり)

逆子を治す方法として、唯一、科学的根拠が認められているのは「外回転術」です。

これは、妊婦さんのお腹の上から手を当てて、子宮内にいる胎児を回すというものです。

成功率は医師の腕や実施する週数、母体・胎児側の要因にもよりますが、60%程度にものぼると言われています。

ただし、術中に胎盤が先に剥がれてしまうこと、赤ちゃんの心拍数の悪化することなどのリスクも考えられるため、すぐに緊急帝王切開が行える施設のみで行われます。

病院や医師の方針によって、実施する週数、子宮収縮抑制剤の使用、麻酔の使用などが異なります。

逆子体操(科学的根拠なし)

科学的根拠は証明されていませんが、病院やクリニックでの逆子体操の方法をお伝えすることがあります。

科学的根拠はないとされていますが、長年妊婦を見てきた医師や助産師はその経験から逆子体操をすすめることがあります。

ごく簡単にお伝えすると、胎児が回りやすい位置にいくために妊婦さんのお尻を高く上げ、その後左右どちらかに横になって過ごすというものです。

お尻を高く上げる姿勢はさまざまで妊婦自身の負担にならないものを選択していきます。

また、胎児によって、どちらの向きに向くのが良いかは異なるので、病産院での指導の際、確認していきましょう。

ただし、お腹の張りがある切迫早産の状態などでは逆子体操実施を控えた方が良いため、医師や助産師の指導に従ってください。

鍼灸治療(科学的根拠なし)

こちらも科学的根拠は証明されていませんが、鍼やお灸を行い、逆子が治ったという方もいます。

治療により血流を促進し、冷えを改善することで子宮の筋緊張を緩和し、逆子の改善効果が期待できると言われています。

外回転術までは望まないけど、何か改善する策を取りたい方は試してみても良いですね。

まとめ

妊娠中期に逆子と言われた場合でも、すぐに治療などを始める必要はありません。

逆子体操や鍼灸をすることは医師の許可があれば可能ですが、科学的根拠はないとされています。

その上で、妊婦さん自身の生活を見直し、胎児に良い母体環境になっているか、ということを意識してみましょう。

妊娠後期に入っても逆子が続いている場合は、医師や家族としっかりと相談をして治療を受けてみるのも良いですね。

参考文献

・日本産科婦人科学会雑誌-D.産科疾患の診断・治療・管理 Diagnosis, Therapy and Management of Obstetrics Disease 12.骨盤位娩出術 Breech extraction
・国立研究法人 国立成育医療研究センター-骨盤位外来